原油価格は1バレル=100ドル超になる懸念がある 「中国経済が不調でも上昇」は現実のものに
これだけの減産を、少なくとも年末までは行うというのだから、世界需給がこの先一段と逼迫するのは避けられない。また、それを見越して投機的な買いが集まってくるのも当然の流れだ。一方では世界的な景気悪化や需要の伸び悩みに対する懸念も強く、それが8月までは相場の大きな重石となっていたことも確かだ。
だが、エネルギーは生活必需品であり、人々が通常の経済活動を行っている限りは需要も極端に落ち込まない。景気が悪くなってもビジネスを行っている限り、通勤や出張などで交通機関を利用すれば、その分燃料を消費することになるし、猛暑になれば冷房需要が増加、冬場は冬場で暖房需要がやはり増加する。
中国経済の落ち込みなどが懸念材料視される中で、大きく売りが膨らむ場面もよく見られたが、仮に同国経済が急速に悪化しても、再びコロナ禍によるロックダウンでも行われない限り、需要が1日あたり50万バレルも100万バレルも一気におちこむことは考えにくい。一方で、生産はサウジが簡単に100万バレルの減産をしてしまうような状況だ。需要の落ち込みと産油国の減産を天秤にかけるなら、やはり後者の減産の影響を重要視するべきだ。
供給不足は、シェールオイル増産でもカバーできない
すでにOPECは9月12日に発表した月報で、2023年10~12月期のOPECに対する需要(Call on OPEC)が日量3071万バレルに、2024年1~3月期には日量3003万バレルになるとの見通しを示した。
一方で8月のOPECの生産量は日量2745万バレルにとどまっており、9月以降もこの生産量が維持されるなら、単純計算でも10~12月期には世界市場における供給不足が日量300万バレルを超え、1~3月期も260万バレル程度の供給不足が続くことになる。
もちろん、今後は価格回復を受けてアメリカのシェールオイルなどの生産量が増えてくることも予想される。だが、これだけの大幅な供給不足をカバーすることは不可能だろう。実際、シェール関連業者が価格の指標として使っている、受け渡しが5年以上先となる先物市場の価格は1バレル=60ドル台で低迷しており、採算ラインに乗っている油田がまだ少ないと見られていることも、生産が伸び悩む一因となるかもしれない。
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