次世代BEVが自走する速度は、タクトタイム60秒に相当する時速0.36km。自動走行の仕組みは、工場内に設置したカメラでクルマの位置を認知し、目標経路とのズレを自走制御システムが計算、クルマ型の無線端末から車載の運動制御装置を介してモーター(アクセル)、ステアリング、ブレーキ、シフトバイワイヤ等を作動させるもの。
工場内の地図は、高精度な3次元地図ではなく、2次元地図で十分に対応可能だという。また、車両組立が終わった車両は、車載カメラなどのセンサーも活用して、屋外にある車両保管場所(ヤード)まで自走する。
なお、2022年から元町工場で混流生産されているbZ4Xとスバル「ソルテラ」は、電池組付工程がライン上に構築される2023年の夏休み休暇前までの期間、簡易的に元町工場の屋外、約80mを時速5kmで自走した実績があり、すでにBEV完成車の自走は可能となっている。
そのほか、ヤード内で素早い移動を行うためにトヨタが自社開発した、「ヴィークル・ロジスティックス・ロボット」が実走する様子も見た。
クルマづくり(モノづくり)の原点に戻ろう
以上が貞宝工場、明知工場、元町工場での1日半にわたるさまざまな視察の一部だが、全体を通じて、最も印象に残ったのは、「人の存在」であった。
匠の技術はもちろんのこと、最新デジタル技術を活用して工場間や部門間の垣根を超えた「人の共同作業」の密度の高さを実感した。
そうしたさまざまな部門の「トヨタの人たち」から聞こえてきたのは、「クルマづくり(モノづくり)の原点に戻ろう」という言葉だ。
BEV化を筆頭に、製造現場の環境が大きく変化しようとしている今だからこそ、そうした考え方がトヨタ社内で自然と広がっているのだと思う。
トヨタは今、大きく変わろうとしている。貞宝工場で見た、豊田佐吉が24歳のときに考案した「豊田式木製人力織機」を実際に動かすトヨタ社員の姿を見ながら、トヨタが今置かれている現実を再認識した。
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