がん末期「自分の死と死後」を仕切った男性の凄さ 「もしも」のときの事、早めに家族で話し合いを

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介護が必要になったときの生活を考える際には、「いくら“かかるか”」ではなく「いくら“かけられるか”」を考えなければなりません。現実的な視点での過ごし方を決める必要があるからです。

施設を希望するなら、具体的にいくら出せるのか、それによって自ずと選べる範囲が絞り込まれます。一口に施設と言っても、その種類はさまざまで、かかる費用も大きく違います。

施設は、公的施設と民間施設の2つに大別できますが、一般的に公的施設のほうが費用が安い傾向があります。この公的施設(例えば、特別養護老人ホームや介護老人保健施設)を考える際の目安が「月額15万円(食事、介護費用、入居費)」という金額(医療費は除く)です。

地域差はあるものの、月に15万円を出せるかどうかが、施設入居を考える際の基準の1つになるといえます。民間の施設については月額20万円以上になることがほとんどです。

「もしも」は4つの観点で整理

なお、こうした「もしも」を考えるときには、「お金」「モノ(自宅、施設など過ごす場所や相談できる場所)」に加えて、「人」「夢」の4つの観点で整理することをお勧めします。

お金は「使っていいお金が誰にどれぐらいあるか」、モノは「過ごすのに適した場所や困ったときに相談できる場所があるかどうか」、人は「いざというとき、誰がどれだけ動けるか」、そして夢は「どう過ごしたいか」です。

特に、人・モノ・お金の3点については、なるべく元気なうちから整理し、そのうえで「どう過ごしたいか」という夢を考えるといいでしょう。この4つの観点を押さえたうえで選択肢を考えると、いざというときに「こんなはずじゃなかった」ということになりづらいと思います。

一方、話を切り出しても、親にはぐらかされてしまうときもあるかもしれません。「自分が弱ってきたらどうするか」といった話は、なるべく先延ばしにしたいと考える気持ちもわかります。実際に私の父親も、「まだ考えなくていい」「いざとなったら、お前が決めていい」の一点張りでした。

そんなときは、「希望を聞いていないと、いざというときに“私”が困る」ということをしっかりと伝えましょう。この「私が困る」のように私を主語として話すことをアイメッセージといいますが、これが相手に物事を伝えるときに有効だとされています。

予測しない急な事態が起こったときに、大切な人がどうしたいかがわかっていると、選択する際の大きな助けになります。また「何を大切にして過ごしたいか」というのは、個々の価値観によって大きく変わってくるところなので、本人の意思で決められるに越したことはありません。

ククルに飾ってある絵。入居者の女性が描いた(写真:筆者撮影)※一部加工しています
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