50歳すぎたら…「3つのワクチン」打つべき順番 咳止めは1カ月、抗生剤も解熱剤も欠品続く現状

拡大
縮小

もちろん、理想的にはあらゆる変異コロナウイルスに効く「ユニバーサル・コロナワクチン」を開発することだが、まだ研究の途上だ。

現在、日本ではオミクロンXBB.1.9.2系統のEG.5という変異型が流行している。これについて新ワクチンは中和抗体を生成することがわかっており、発病予防効果が期待できる。また、変異がとても多いことで注目されているBA.2.86に対しても、発病予防効果があることがわかっている。

これまでの経験から、新ワクチンの効果は少なくとも3カ月程度もつことがわかっている。10月に接種すれば、年末年始の人出や宴会の多い時期まで効果が期待できる。であれば、必要なら速やかに予約を取り、接種を受けるのが賢いタイミングだ。

Science』誌によれば、取材した専門家全員が、「高齢者、免疫力が低下している人、または特にウイルスによる被害を受けやすい病状を抱えている人」であれば、接種したほうがいいのは議論の余地もないと答えている。また同誌は、打ってから4~6カ月は保護されるとしている。

インフルワクチンの効果、今年は高め?

折しも10月からは、インフルエンザの予防接種も始まる。こちらも冬からの流行が収束しないまま、再拡大が始まってしまった。やはり速やかに接種を受けたほうがいいだろう。

2023年の夏、つまり南半球の冬では、インフルエンザワクチンの有効率は51%との報告だった。とくに、H1N1pdmという主流ウイルスに対しては、55%と高い有効率だった。南半球で流行したウイルスが北半球に移動してくることを考えると、今冬のインフルワクチンも、同様の予防効果が期待できそうだ。

コロナは大人、とくに高齢者がかかりやすいのに対し、インフルエンザは子どもが多く発病する。熱性痙攣を起こしたり、インフルエンザ脳症になるなど、重篤化することもある。

ただし、インフルエンザでもかかった場合に重症化しやすいのは、やはり高齢者だ。

子どものいる家庭の親御さん、高齢者と同居している方など、自身は発病や重症化のリスクが低い方も、家族からもらったりうつしたりしないよう、予防接種を受けておきたい。

久住 英二 内科医・血液専門医

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科医、とくに血液内科と旅行医学が専門。虎の門病院で初期研修ののち、白血病など血液のがんを治療する専門医を取得。血液の病気をはじめ、感染症やワクチン、海外での病気にも詳しい。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT