50歳すぎたら…「3つのワクチン」打つべき順番 咳止めは1カ月、抗生剤も解熱剤も欠品続く現状
つい最近では、夏休みに家族でキャンプの最中に発病した、という方がいた。あまりの痛みに急遽キャンプを取りやめて受診したそうだ。また、年末年始の医療機関が休みのときに発病した方は、救急病院を受診したが、臨床経験に乏しい当直医が帯状疱疹と診断できなかった。正月明けを待って皮膚科を受診し、「何でもっと早く受診しなかったの」と言われたという。
また、激しい頭痛で脳外科を受診したが、帯状疱疹との診断を受けた人もいた。幸いなことに、看護師が髪に隠れた頭皮の帯状疱疹に気づいてくれて、すぐに診断・治療を受けられたとのこと。「体の片側に、帯状に赤い斑や水疱ができる」といった典型的な症状なら診断はつきやすいが、典型的でない帯状疱疹の診断は難しい。
だから私は50歳以上の人には、帯状疱疹ワクチンの接種をお勧めしている。
帯状疱疹予防ワクチンは2種類あるが、私のお勧めは生ワクチンではなく、迷わず不活化ワクチンの「シングリックス」だ。帯状疱疹を予防する効果がより高い。
接種後1年目の予防効果は、生ワクチン70%程度、シングリックス97%と、生ワクチンもそれなりに健闘してくれる。だが、接種から3年後には、生ワクチンの予防効果は40%以下に低下してしまう。
不活化ワクチンは、2回接種で5万円前後と、費用が高いと敬遠される方も多い。ただし10年は効くと考えると、月々400円程度の負担でしかない。また自治体によっては帯状疱疹予防ワクチン費用の補助があり、それを利用すれば月々200円程度の計算だ。
毎月、高級どら焼き(補助があればスーパーのどら焼き)1個分程度の費用で、帯状疱疹という厄介な病気が防げる。「安心」という自分へのご褒美は、どら焼き以上の価値があるはずだ。
「10月接種」が断然お勧め
冒頭のとおり、このところは診察室でノドと鼻を診て、肺の音を聴き、鼻から綿棒を入れて抗原検査して、「はい新型コロナです、5日間休みましょうね」、というのをひたすら繰り返している。5類になって日々の感染者数公表はなくなったが、去年の今頃にこの規模で流行が起きていたら、世の中はもっと大騒ぎになっていたに違いない。
これから接種が始まるコロナワクチンは、変異ウイルスのXBB.1.5に対応したワクチンだ。ファイザーとモデルナが製造し、当局の承認を受けた。ワクチンの製造は必ず変異ウイルスの出現に遅れるものだが、新たな変異ウイルスも、先祖たるオミクロン系統と似たり寄ったりの部分が多く、ワクチンは有効と考えられている。
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