ガン発症5年、コンサルタントが感じる後悔と感謝 ガン患者のサポートを「受ける」から「する」側へ

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サステナビリティ領域のコンサルタントにとって、2018~2021年は非常にクリティカルだったと感じている。さまざまな法規制やソフトローの改正や施行があった時期と重なり、企業のサステナビリティ経営への対応も加速的に進んだ。競合他社の動きも激しく、復職した時に市場の大きな変化を感じずにはいられなかった。

多分野にわたる知識的なキャッチアップも容易ではないのに加え、その間コンサルタントとして経験を積めなかった痛手の大きさも日々感じている。

時間があるからこその幸せ

一方で、当時「こうしておいてよかった」と思うこともたくさんある。著書『経営コンサルタントでワーキングマザーの私がガンにかかったら』にもくわしく書いたが、入院中、治療方針の変更を打診されたことがあった。

主治医の話を聞き、質問もして、さらには英語で書かれた医療論文を読んだうえで、骨髄移植ではなく化学療法の治療を選択することにした。自分が納得したうえで意思決定できたことは、今でもありがたい経験だったと感じている。

退院してから子供たちと向き合う時間を十分にとれたことも大きな出来事だった。

退院時に小学6年生になっていた長女の中学受験のサポート中心とした時間をもてたし、受験が終わった後は次女と一緒に親子で参加するスタイルの英語スクールに通い、英検受験にチャレンジすることができた。体力の限界まで子育てに時間を使った退院後のこの2年間は、私にとっても子供たちにとっても貴重な時間だったと思う。

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