「VIVANT」もう1つの諜報機関、外事警察官の実態 別班と双璧を成す「組織の正体」を監修者が語る
では、どのように公安の外事警察官は選抜・育成されていくのだろうか?
勝丸さんは「警察にも自衛隊の秘密情報部隊『別班』のような組織が存在する」とした上で、「この組織の出身者の多くが外事警察官として活動している」と明かす。
その組織は警察庁が全国の公安警察部門から選び抜いた精鋭たちからなり、「専科講習」という名の厳しい訓練が行われるという。招集されたエリート公安警察官たちは所属の警察本部を退職し、特殊な訓練を受ける。
勝丸さんはその組織に関わった経験を持ち、海外での情報収集方法を講義したことがある。ちなみに参加していた公安警察官たちは出席確認の際、「鈴木です」「佐藤です」「田中です」などと、全員偽名を名乗っていたという。
講習では極左暴力集団や世界中のテロ組織の研究などの座学に加えて、特殊な実践訓練が行われる。講習では尾行や秘聴、秘撮、読唇術、そして鍵開けの方法、果てはマジック(手品)を習得する過程があるという。
外事警察官と自衛隊別班との違いは?
外事警察と自衛隊別班との違いは、徹底して法令を順守するという点だと勝丸さんは指摘する。
「外事警察はあくまで法に基づいて権限を執行する警察官ですから、ときに法を無視するドラマで描かれた別班のような行動は基本的にできません。鍵開けの技術も、閉じ込められてどうにもならない、命の危険を感じた際に使うものです。かつては民間企業に警察官の身分を隠して入社し諜報活動にあたるといったケースはあったそうですが、現在ではそうした違法性の高い活動はしていないと聞いています」
ドラマでは別班と公安部外事四課の攻防が繰り広げられたが、2つの組織の関係性は実際どのようなものなのか。
勝丸さんによると、外事警察と別班は同様の業務を行うものの「あからさまな敵対関係にはない」と話す。なぜなら別班は自衛隊の部隊で、 警察が扱う領域と別班が扱う領域は違う。そのため基本的に現場でかち合うことはないというのだ。一体どのような領域の違いなのだろうか?
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