自衛隊「対敵特殊部隊」訓練が非現実的な理由 特殊部隊が侵入できない日本の現実を考えていない

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市街戦を想定した訓練を行っている自衛隊員(写真・Koichi Kamoshida/Getty Images)

自衛隊では秋になると、演習を実施する。その際には各基地で、自隊警備を実施する。基地に勤務する自衛官が24時間体制で正門や塀、重要建物の警備に当たるものだ。

これは特殊部隊による破壊工作への対策である。戦時に敵国特殊部隊は日本国内の自衛隊基地を攻撃するという見通しに基づき、大規模な演習では各基地の自隊警備を内容に含めている。

それにより敵軍を模擬した陸上自衛隊のレンジャー(特殊作戦要員)の基地侵入の阻止を図る。だが、本当に日本に特殊部隊は来るのだろうか。

実は、そのような事態が起きるとは考え難い。第1に敵国にとっても準備は難しい。第2に日本の治安維持力に彼らは封殺される。第3に、自衛隊基地は攻撃対象として不適当だからである。

それらからすれば、特殊部隊対応の自隊警備は見直すべきだ。来るはずもない特殊部隊への対策として、専門職の自衛官を畑違いの警備で消耗する無駄がある。とくに訓練過熱の原因である陸自レンジャーによる侵入は改めるべきである。

自隊警備のかなりの負担

では、自隊警備とは何だろうか。自分の部隊を自分で警備することだ。実際には基地単位での対応なので、自分の基地を自分で警備する形である。

その対象は敵国の特殊部隊だ。1970年代までは、国内の反戦デモや反自衛隊デモが対象だった。それを1980年代以降には特殊部隊対策に改めた。戦時に自衛隊基地に侵入して、航空機や艦艇、重要建物を破壊する。それを防ぐこととなった。

となると、警備の負担は大きい。自隊警備の部署が対象となると、ざっと部隊の1割近くは引っ張られてしまう。しかも、自隊警備に出した隊員は24時間働き詰めなので翌日、翌々日には別の隊員を送り出さなければならない。当然だが、前日に出した隊員は疲労のため、警備から上がった翌日は使い物にならない。

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