「VIVANT」もう1つの諜報機関、外事警察官の実態 別班と双璧を成す「組織の正体」を監修者が語る

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「別班の強みは、外事警察が触れることができない軍事情報を入手していることです。例えばテロリストの拠点からロケットランチャー3基が発見されたときに、外事警察はその存在はわかっても、性能まではわからない。対して、このロケットランチャーがどのぐらい強い破壊性能を持っているか、具体的には、かなり大きな飛行機まで撃ち落とせるとか、ということは、別班員は瞬時に判別できるんです」

別班は、潜入先の国の軍事情報を入手することを最優先の任務としている。軍の組織形態、キーマンの指揮官、軍の内情をスパイ活動によって入手している。

現地に人を介して情報網を開拓するヒューミントや、偵察衛星を用いた詳細な軍関係施設やゲリラ組織の所在地情報の取得など、自衛隊組織としての強みを活かした活動を日夜展開している。

テロ事件で別班の「影」感じる

勝丸さんは、2015年にシリアで国際テロ組織によって日本人2人が殺害された事件の際に、別班の影を感じたことがあったという。

「2人が殺害される瞬間を映像で公開するなど、日本人の人命が失われたテロ活動ということで、外事警察も現地で情報収集を行って官邸に報告を上げていたのですが、その中に外事警察情報ではない軍事情報が複数報告されていたことを後日、知りました。あれは間違いなく現地に展開する別班からの情報が上げられていたのだと思いました」

外事警察も別班も、過酷なミッションを成し遂げる拠(よ)りどころは一体何なのだろうか。勝丸さんは言う。

「過酷な任務を遂行できるのは、日本をテロの危機から必ず守るという愛国心が支えになっているからです。危険を冒して入手したテロにつながるかもしれない情報が日本の安全に貢献する、あるいは犯罪の流入を防ぐことにつながることを信じて、ひたすら任務に邁進するのです」

いまこの瞬間も遠い異国の地で外事警察官、別班員が日本の危機を未然に防ぐべく動いているのは間違いない。

一木 悠造 フリーライター

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いちき ゆうぞう / Yuzo Ichiki

ノンフィクションの現場で取材・執筆を重ねてきたフリーライター。

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