「低評価レビュー」プロが教える意外な読み解き方 その店の真の姿がリアルに浮かび上がってくる

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おいそれと貶されないようにするためには、その店の思想・方針・ポリシーなどを世に広めていく必要がありますし、そもそもそのコンセプトが「貶しづらい」ものである必要もあります。自分で言うのもなんですが僕はそういうことに関しては狡猾ですし、それをアピールする、SNSや各種ネット上のメディアなどの場も持っています。

しかしすべての店がそうとは限らない。よしんばそういうことをやれていたとしても、関係なくそこに突撃してくる無敵の人はいます。なので、店を的確に理解した高評価レビューがたまることが、ほとんどのお店にとって唯一、それを回避する方法となります。

並べて見ると、低評価レビューのどの部分が「無理解」に基づいており、どの部分がある程度的確なものかがわかるからです。

レビューサイトはないほうがいい?

しかしそれとて無理解に基づく低評価を完全には回避できません。そもそもそこまで比較して読み込んでもらえる保証もありません。

だから世の中の結構な割合のお店の人が「レビューサイトなんて無くなってしまえばいいのに」と思っていたり、自分からはそれを絶対見ないようにしていたりもします。

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ただ個人的にはそれはそれで少しもったいないとも思っています。割合は少ないかもしれませんが、改善のヒントが得られることも確実にありますし、何より「褒められてうれしい」という、飲食業をやっていくうえでのある意味最大のヨロコビも得られるので。

あとは1件の低評価ごときにクヨクヨしないようメンタルを鍛えるしかないのでしょう。現実的には1件の低評価より10件の高評価のほうが世間に与える影響は大きいわけですし。

もっと言えば実際は、レビューの何十倍何百倍ものお客さんが実際に店を訪れて楽しんでくれているわけです。あえて星は付けずとも、高く評価しているから通ってくれているファンがその店には大勢いる。

この幸福な事実を改めて噛み締め、レビューサイトとはほどほどに付き合っていく──これが現代の飲食店主に求められる処世術なのかもしれません。

稲田 俊輔 南インド料理専門店「エリックサウス」総料理長
いなだ しゅんすけ / Shunsuke Inada

飲料メーカー勤務を経て、友人とともに「円相フードサービス」を設立。和食をはじめ、さまざまなジャンルの飲食店を手掛ける。2011年、東京駅八重洲地下街に「エリックサウス」を開店。現在東京、名古屋、岐阜、大阪に計10店舗、オンラインショップも人気。著書に『南インド料理店総料理長が教える だいたい15分! 本格インドカレー』『ミニマル料理』(以上柴田書店)、『個性を極めて使いこなすスパイス完全ガイド』(西東社)、『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』(扶桑社新書)、『おいしいものでできている』(リトルモア)、『キッチンが呼んでる!』(小学館)など、料理書から小説まで多数上梓。

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