「低評価レビュー」プロが教える意外な読み解き方 その店の真の姿がリアルに浮かび上がってくる
僕はその効率的な利用法の1つとして、「まず低評価レビューから見る」ということをよくやります。高評価レビューって案外自分の言葉で書かれていなくて、結局「おいしい」としか言ってなかったり、テレビのグルメ番組でもよく見かけるような定型句に終始したりしているものが大半。
その点、低評価レビューには、逆に生々しい感情があふれています。もちろんそこには偏った価値観や料理への無理解、時にはあからさまな悪意も存在するわけですが、そういった毒気に当てられず冷静にそれを読み込めば、そこにはその店の真の姿がリアルに浮かび上がったりもするのです。
低評価レビューは貴重な情報源
例えばフレンチ、イタリアン、スペイン料理といった欧風料理の店に関して言えば、そこに「しょっぱい」「油脂がくどい」「香草がキツい」(なので「食べられたもんじゃない」)といった低評価がいくつかあれば、僕は「これはアタリの店かもしれない」と判断します。
塩気や油脂を控えて、誰にでも食べやすく、どこからも文句が出ない料理を作るのは、プロならそう難しいことではありません。なのにあえてそれに背を向けるということは、そうやってでも表現したい明確な何かがあるということでしょう。この場合であれば、おそらくクラシックでどっしりとした料理を目指していることが推測可能です。
誰にでも食べやすい現代的な料理と、食べ手を選ぶクラシックな料理──もちろんどちらが上というわけでもありません。しかしおおむね世間において後者の存在は貴重です。
お店によっては、クラシックを標榜しつつも実際はメニューの中のごく一部だったり、現代的に食べやすくアレンジされていたりすることも少なくない。高評価のレビューだけ見ていると、それがどんなタイプのお店であっても区別なく、
「とにかく絶品です!」
「何を食べてもおいしい」
「素材を生かした豪快かつ繊細な料理」
「内容に対しては安い」
といった「何も説明していないに等しい」定型句が並んでいることのほうが多いようで……。
だからこそ低評価レビューは貴重な情報源になり得るのです。