精神的に未熟な親に育てられた、がんばり屋タイプの子どもなら、自分を追い詰めながら生きていかなければならないことをたくさん教えこまれてきたかもしれない。特にひどいのは次のようなものだろう。
・自己主張しない
・助けを求めない
・自分のために何かを求めたりしない
こういう子どもが思う「いい子」は、親がまず自分の欲求を満たせるよう、万事において控えめでいることだ。彼らは、自分の感情や欲求はさほど大事ではなく、ことによっては「恥ずべきものだ」と考えるようになるが、こうした考え方がいかにゆがんでいるかに気づけば、状況は一変し得る。
子どものころは、親の意見や信念を内なる声として受け入れていく。その声は、わたしたちの内側から絶えず聞こえ続ける。
たいていは「〇〇すべき」「〇〇したほうがいい」「〇〇しなければいけない」と言ってくるが、当人の価値や知性や道徳的な人格については無遠慮に批判してくることも多い。
こうした声は、自分の声のように聞こえるかもしれないが、実際は、幼いころに世話をしてくれた人(つまり親)の声が当時のままに響いているだけだ。
「いい子」に徹しすぎて自分を見失う
著名な大学教授のDさんは、もう何年もうつ状態にあった。彼は、横柄で批判的な父親と、自分のことしか考えない母親にまるで関心を持たれないままに育ってきた。
Dさんの内在化された親の声はとにかく否定的かつ完璧主義で、彼はその声に絶えずとがめられていた。声の要求に完璧に応えられないと、すぐに自分で「自分はダメだ」と決めつけて自己嫌悪におちいった。しかも、本当に自分がやりたいことなのか、声に言われるからやりたいと思うのかも分からなくなっていた。
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