・個性の阻止
精神的に未熟な親に育てられた子どもは、幼いころ、相手の神経を逆なでしないよう息を詰めて暮らしてきただろう。そういう親が、子どもをからめとってつくりあげてきた家庭は、さながら「要塞」だ。
精神的に不安定で未熟な親にとって、子どもの個性は恐怖でしかない。拒否されたり見捨てられたりしかねないからだ。子どもが自分の考えを持てば、親を批判し、自立するかもしれない。だから彼らにとって家族は、個性を持った存在ではなく、「行動が予想できるファンタジーの中の人物」と思っているほうが安心できるのだ。
・個の欲求や希望の否定
不安だからこそ常に厳格な支配力を行使する親は、子どもの行動はもちろん、感情や考えまでも支配する。自分で問題を解決していくタイプの子どもは親の言うことを真剣に受け止めがちなので、自分の内なる経験は正しくないと思いこんでしまうことがある。
この手の親は、「親と違うのは恥ずかしいことだ」と教える。すると子どもは、自分の魅力や、強みまでをも否定し、かわいげのないものと考えるようになる。こうした家庭で育つ子どもは往々にして、次のようなごくふつうのことを恥ずかしく感じるようになっていく。
・自発性
・傷ついたり、なにかを失ったり、変化することへの悲しみや嘆き
・天真爛漫な愛情
・本当の気持ちや考えを言うこと
・ひどいことをされたりバカにされたときに怒ること
親のエゴが「正しい」とカン違いする
反対に、次のような経験や感情は、むしろ「いいことだ」と教えられる。
・親に力や支配力を与えるような身体的な病気やケガ
・不安や自信喪失
・進んで親と同じようにする
・完璧にできず、ちがったことをしてしまうことに対する罪悪感や恥ずかしさ
・人の話、それも特に親の悩みや不満に自発的に耳を傾ける
・女の子は笑顔で、男の子はたくましくといった典型的な男女の役割に徹する
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