残念なことに、不吉な兆候が見えている。欧州の重鎮、フランスとドイツが、デジタル化を後退させる決意を口にしているのだ。最近、EUのエッティンガー・デジタル経済・社会担当委員が、ネット中立性(すべてのネット通信を平等に扱う考え方)について、「タリバン的だ」と発言し、オンラインサービスから新たな取り立てを行うよう提案した。
グーグルやフェイスブックといった、主に米国を基盤とする強力な企業に対して、より強化された規制の適用が主張されている。また欧州は、企業がデータ保護に関して、欧州で本拠地としている1カ国の当局と折衝すれば済むという、重要な「ワンストップショップ」政策を骨抜きにする態勢を整えたようだ。
ヨーロッパにとってベストの選択とは
それだけではない。Uber(ウーバー)による配車サービスや、Airbnb(エアビーアンドビー)による宿泊施設仲介サービスに対して、取り締まりや規制強化を求める抗議の声が欧州中で上がっている。またフランス元老院は、「検索中立性」を義務づけることを検討している。
もし欧州が方針を変えないのであれば、オンライン経済が秘めている可能性を手に入れ損なう危険にさらされることになる。イーベイやアマゾンなどeコマース、そしてグーグルやフェイスブックといった広告サービスのプラットフォームの恩恵は、米国企業だけでなく欧州の中小企業にも及ぶ。加えて、欧州のアプリ開発者も、携帯電話で動くソフトウエアの上にビジネスを構築している。
インターネットは勝者と敗者とに分かれるゲームではない。皆が勝つことができるのだ。また欧州をほかの地域と競わせるように作用するものでもない。結局のところ、欧州には数十億ユーロ規模のインターネット企業が米国と同じぐらいの数、存在している。欧州にとって最もよい選択は、デジタル技術を活用する革新的起業家が活動しやすい環境を最大限に整え、より多くのインターネット企業が誕生し、成功するように導くことだ。
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