5月6日に欧州委員会がデジタル戦略の新方針を発表した。
欧州の経済活動にとって、またその産業基盤の現代化にとって、インターネットは核心的な存在となっている。過去5年間、欧州がマクロ経済的な課題に苦慮している間、米国とアジアはデジタル化の利益を享受してきた。
プラムコンサルティング社の調査では、この5年間、情報通信技術(ICT)は米国の生産性向上に年平均で1.6%近く寄与してきたという。欧州の2倍の数値だ。米国では全投資額の5%がICT分野に流れる一方、欧州ではそれが2%でしかないことを考えれば、こうした寄与率の違いも驚くには当たらないのかもしれない。
大胆な規制緩和が必須
「欧州はGDP(国内総生産)全体に対する比率では米国よりも多く投資しているが、インターネットやICTに対する比率ではそうではない」(プラム社)
最も前向きな解決方法は、多少齟齬(そご)が生じるとしても、インターネットを受け入れてしまうことだ。お役所的な規制を撤廃して、すべての企業が5億人の共同市場で商品やサービスを売れるようにすることだ。現在、欧州企業は欧州連合(EU)加盟28カ国分の規制に対処しなければならない。これでは、EU内で国境を越えてオンラインで買い物をする消費者が15%しかいないのは当然ともいえる。
インターネットから最大限に恩恵を受けるのであれば、EUはグローバルな競争相手から地元産業を守る考えを捨て、ストックホルムから、ソウルから、サンフランシスコからと、投資元にこだわらずすべての投資を歓迎するべきだ。
欧州はまた、通信ネットワークの卸売事業への無差別的な参入を保証し、消費者や企業が利用する通信サービスやオンラインサービスを選択できるようにするべきだ。同様にEUは、たとえばデータ転送に関する「セーフハーバー」原則の改善について、米国との交渉を妥結させるべきだ。
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