ボツワナでは独立後、産出するダイヤモンドから得られる利益を生活水準の向上にあてるとともに産業の多角化を進め、工業化に成功した。紛争や貧困といった負の側面で語られることの多いアフリカだが、全体としてみれば経済は着実に成長し、国民生活は向上している。
◎ナイル川は誰のものか?
エジプトを潤すナイル川は、上流部で降る雨の水を集め、中・下流で砂漠地帯を流れる。こうした砂漠を貫流する川を「外来河川」というが、外来河川のために水の蒸発は激しく、水量はあまり多くない。
河口に達するときの流量は毎秒2830立方メートルと、20万立方メートルに達するアマゾン川の15%程度である。
こうした限られた水資源に、流域の約3億人の生活がかかっている。エジプトでは人口の96%がナイル川の流域に居住し、生活用水・農業用水・工業用水を頼っている。
特に大量の水を必要とする農業は、ナイル川の水がなくてはまったく成り立たない。国内にはアスワンハイダムなどの多目的ダムが建設され、灌漑用水の供給に役立っている。
水資源でエジプトは厳しい状況に
ところがこの水資源をめぐって、近年エジプトは厳しい状況におかれている。上流の各国と水の争奪戦が繰り広げられているのである。スーダンによる新たなダムの建設や、タンザニアとウガンダによるビクトリア湖からの灌漑用水取水の計画がある。
さらにエチオピアでは、支流の青ナイルに大エチオピア・ルネサンスダムが建設され、2020年には貯水を開始した。
青ナイルは、白ナイルとともに二大支流の1つである。ナイル川全体の流量の6割以上を占めるため、エジプトは青ナイルの水量減少を危惧し、反対している。エチオピアにとっても、大エチオピア・ルネサンスダムは農業用水や工業用水だけでなく、6000メガワットの電力をもたらし、発展の基礎となるもので、譲れない事情がある。
そこで流域11カ国のうち10カ国は「ナイル流域イニシアティブ」を組織し、水資源利用のあり方を話し合っている。
しかし、既得権益を維持したいエジプトなど下流の国と、水の利用を拡大したいエチオピアなど上流の国とが対立し、交渉は難航している。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら