アフリカの発展を妨げる「直線の国境」ができた訳 資源も人も豊富なのに、なぜなくならない紛争

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アフリカの人口分布には著しい偏りがある。サハラ砂漠や南部の乾燥地帯では人口密度がきわめて低い一方で、地中海沿岸、ギニア湾岸、アフリカ東部の高原地帯では人口密度が高い。

特に「サヘル」とよばれるサハラ砂漠南縁の国々で人口が急増している。女性1人が産む子どもの数である合計特殊出生率は、ニジェールで7.0に近く、マリやチャドも6.0に近い値を示す。世界で類をみない人口爆発が、アフリカで起こっている。

「人口爆発」をもたらした理由は?

サヘル諸国を中心に人口爆発といえる状態になっているのは、出生率が高いままで死亡率が低下したためである。一部地域では砂漠化の進行による生活環境の悪化も見られるが、そうした地域でも人口は増えている。

アフリカ最大の人口を擁するナイジェリアでは、2019年に100人当たりの出生数が3.7人なのに対し、死亡数が1.2人であり、年間で500万人あまりが自然増加した。

(出所:『世界の今がわかる「地理」の本:紛争、経済、資源、環境、政治、歴史…“世界の重要問題”は「地理」で説明できる!』)

死亡率が低下した背景には、医療の進歩や衛生環境の改善がある。ワクチンが普及したり栄養状態が良くなったりしたことで、マラリアやデング熱などの風土病による死者が大きく減った。それにともない人々の生活水準も、全体としてみれば向上している。

たとえば携帯電話の普及率は、ケニアで2002年に10%程度だったのが、2017年には92%に達した。サハラ砂漠以南のアフリカ諸国では、経済成長率が2003年から2012年までの10年間で、年平均5.8%に及んでいる。アフリカでは、人口急増と経済成長が同時に起こっている。

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