アフリカの発展を妨げる「直線の国境」ができた訳 資源も人も豊富なのに、なぜなくならない紛争

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◎熱帯雨林と砂漠が大部分を占める

急増する人口が経済成長に結びつく要因には、鉱産資源を埋蔵する自然の恵みがあるからにほかならない。アフリカ大陸の自然は、「北部の砂漠地帯」「中部の熱帯雨林地帯」「南部の砂漠地帯」「東部の高原地帯」に大きく分けられる。

北部の砂漠地帯は、アフリカ大陸の3分の1を占める広大なサハラ砂漠を中心とした乾燥地帯である。

中部の熱帯雨林地帯は、赤道付近で起こる活発な上昇気流のために雨が多く、密林となっている。密林の周囲には、雨季に草原、乾季に枯れ野となるサバナが広がり、ここに多くの野生動物が生息する。

南部の砂漠地帯は、ボツワナとナミビアを中心にカラハリ砂漠が広がり、その周囲には草原や、標高の高い地域に落葉樹林も広がるなど、多様性に富む。

東部の高原地帯は、高原の中に地盤の裂け目である「アフリカ大地溝帯(グレート・リフト・バレー)」がある。これに沿ってタンガニーカ湖、マラウイ湖など、断層運動で生じた窪地にできた湖である「断層湖」が並ぶ。アフリカ大地溝帯は変動の激しい地帯であることから、近くには標高5895mでアフリカ最高峰のキリマンジャロ山などの火山も多い。

石油、金、銀、ウラン……豊富な資源

こうした自然の中に、石油などのエネルギー資源や、銅などの鉱産資源が豊富に存在している。

石油は主に地中海沿岸とギニア湾岸に集中する。「石油輸出国機構(OPEC)」に加盟する国はリビア、アルジェリア、ナイジェリア、ガボン、アンゴラ、赤道ギニア、コンゴ共和国の7カ国にのぼり、これはOPEC加盟13カ国の過半数を占める。

ほかにも、南アフリカ共和国の金、ザンビアの銅、ギニアのボーキサイト、ナミビアのウランなども、産出量が世界の上位に入る。アフリカ大陸が最大の産出量シェアをもつものにダイヤモンド、クロム鉱、マンガン鉱などがあり、いずれも工業原料に欠かせない鉱産資源である。

これらの鉱山からの収益が、アフリカの人々を等しく豊かにしているとはいえない。国全体の経済は成長しても、国内での経済格差はむしろ拡大している。工業が発達していないため、鉱物は未加工のまま輸出され、地域への経済波及効果は少ない。

国家収入となる鉱山使用料も、その多くは採掘に関わるインフラ整備に当てられるほか、汚職の温床にもなっている。鉱産資源が生む権益は、開発に関わる外国企業が握り、利益の大部分を国外に持ち出してしまう実態がある。利益配分の偏りは、不法な操業による環境への悪影響とともに、アフリカ諸国の構造的な問題になっている。

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