日本株は大幅下落する可能性が残っている 震源地はやっぱり「買われすぎている」あの国
こうした現象が起こっている理由は、次の2つの「市場の行き過ぎ」が限界に達し、その反動が生じていることだと考えている。
(行き過ぎ1)これまでの米国の緩和気味の金融政策や、日欧の量的緩和を過度に騒ぎたて、「世界でおカネがあふれまくっている、だから世界の市場動向は何でもカネ余りで説明できる」という「カネ余り中心主義」に毒された投資家が、日米欧の株式も長期国債も買い上げた。このような、行き過ぎたカネ余り幻想の化けの皮が、特に欧米で、はがれ始めている。
(行き過ぎ2)世界中で米国経済が最も安心できる(これ自体は事実だ)という考えから、世界の株で買えるのは米国株だけ、世界の国債で買えるのは米国国債だけ、世界の通貨で買えるのは米ドルだけ、という「米国一極主義」が行き過ぎた。
「買われすぎている米国」の「帰結」はどうなるのか?
結果としてPER(株価収益率)からみた米国株価(後述)、米経済指標の動きと比較した米国債利回り、購買力平価などと比べた米ドル相場が、ことごとく買われ過ぎを示唆している。このため、米国におけるトリプル安が生じ始めている。
こう見ていくと、肝心なのは、「どこまで株価などの調整が進むのか」という点だ。
日経平均株価が下落するとしても、特に日本国内で深刻な状況が発生している、ということでは全くない。
前述のように、行き過ぎた世界のカネ余り期待と米トリプル高の反動が起こり、それに日本株が巻き込まれるという展開だ。したがって、まず米国株の調整メドを考えよう。
予想PER(米ファクトセット調べ)の週平均値を見ると、米S&P500指数ベースで、直近の5月15日(金)に終わった週は、17.7倍に達している。2006年以降の期間における平均値は14.9倍だ。企業収益が一定で、株価の変動のみによって、17.7倍のPERが14.9倍まで調整すると仮定すれば、約16%米株価が下落することになる。
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