子供の話を聞かなかった親に訪れた予想外の悪夢 快適な家があり、おこづかいをあげてても…

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小川:なるほど。こちらが否定的な態度だとなかなか話してくれないでしょうけど、「そのグループって、どういうところがいいの?」とフラットに聞いていけばいいのかもしれないですね。

(写真:伊藤孝一)

出口:そうです。否定せずに、そのグループがいいと思っている理由を聞いていけばいいんです。

話をして本当に理解してくれたと思ったら、その集団に所属する必要がなくなることがほとんどです。時間はかかることがありますが、子どもは案外スムーズにいきますよ。大人の場合は、生活がかかっていたりするのでそこまで単純ではないのですが。

「いじめ加害グループ」から抜けさせたい場合

小川:関連してお聞きしたいのが、我が子がいじめ加害グループに入っているケースについてです。知人から聞いた悩みで、こういうものがありました。小学校高学年の娘が、クラスの中で、ある女の子を無視するグループに入っていると。理由はよくわからず、ただ「ウザいから」「キモいから」と言って仲間外れにしているんです。お母さんは、それは絶対によくないことだからやめなさい、そんなグループは抜けなさいと言ったそうです。でも、娘さんは「そんなことをしたら、今度は私がターゲットにされる。できない」と言います。当然、いじめは悪いことですし、やめさせたいけれど難しいという悩みです。

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出口:いじめの場合、その枠組みに入ってしまうと抜けるのは大変です。実際、加害グループから抜けようとして今度は自分が被害に遭うこともよくありますからね。悪いスパイラルができて、どうにもならなくなります。
当人や親だけで何とかしようと思わないことです。外部の相談機関を頼ってください。

日本人はとくに、こういった問題を自罰的にとらえやすく、相談することをためらいがちです。「自分の努力が足りないのではないか」「親が悪いと思われるのではないか」と考え、自分たちで何とかしようと頑張ってしまうんです。でも、そんなふうに考える必要はありません。事件が起きてからでは遅いですから、早めに相談することをおすすめします。

小川:今の例で言えば、親子でいじめ加害グループについての悩みについて話し合えたのはいいことだけれども、実際の解決に向けては第三者を頼ったほうがいいわけですね。

出口:その通りです。まずは学校に相談でいいと思いますが、学校の対応がうまくいかなければ外部の相談機関です。必要以上に思い悩んだり苦労したりせずに、割り切ってやったほうがいいです。子どもを守るためですから。

小川:メールやチャットなど気軽に相談できるところもありますし、上手に活用していきたいですね。

法務省:法務少年支援センター「こどもの非行問題などの相談」
https://www.moj.go.jp/kyousei1/kyousei_k06-1.html
文部科学省:子供のSOSの相談窓口
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/06112210.htm
小川 晶子 ブックライター、絵本講師

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おがわ あきこ / Akiko Ogawa

幼い頃から絵本が好きで、幼稚園生の頃の趣味は絵本作り。本と表現に関わる仕事をしたいと、2008年よりフリーのライターになる。『文章上達トレーニング45』(同文館出版)、『プロフィール作成術』(kindle)などの著作を持ち、『読書する人だけがたどりつける場所』(齋藤孝著、SB新書)などベストセラーの制作にも関わる。メディア出演、講演実績多数。2人の男の子の母親でもある。

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出口 保行 犯罪心理学者

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でぐち やすゆき / Yasuyuki Deguchi

1985年に東京学芸大学大学院教育学研究科発達心理学講座を修了し同年国家公務員上級心理職として法務省に入省。以後全国の少年鑑別所、刑務所、拘置所で犯罪者を心理学的に分析する資質鑑別に従事。心理分析した犯罪者は1万人を超える。2007年法務省法務総合研究所研究部室長研究官を最後に退官し、東京未来大学こども心理学部教授に着任。2013年からは同学部長を務める。内閣府、法務省、警視庁、各都道府県庁、各都道府県警察本部等の主催する講演会における実績多数。現在、フジテレビ「全力!脱力タイムズ」にレギュラー出演しているほか、各局報道・情報番組において犯罪解説等を行っている。

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