子供の話を聞かなかった親に訪れた予想外の悪夢 快適な家があり、おこづかいをあげてても…

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出口:全国の少年鑑別所には、一般の方からの相談を受ける「法務少年支援センター」が併設されています。ここでの相談の多くがそれです。親御さんや、学校の先生が「悪い仲間といるようだが、どうしたらいいか」と相談に来られます。やはり、急に付き合う仲間が変わって、そのメンバーを見ると非行スレスレだったり、補導されていたりすると。

(写真:伊藤孝一)

そのときに必ずお聞きするのは「お子さんは、その仲間に何を求めているのだと思われますか?」ということです。付き合う仲間が変わったのなら、今までのグループにはなく、現在のグループにあるものは何でしょうか。なぜ、そのグループと一緒にいたいのでしょうか。

小川:やみくもに「悪いグループだから、付き合うのをやめなさい」と言ってもムダだと本にも書かれていましたね。

否定せず、一緒にいたい理由を聞く

出口:そうなんです。本人も、仲間が悪いことをやっているのくらいわかっています。それでも一緒にいたいわけでしょう? 必ず何か理由があるんですよ。それをわからずに、「じゃあ、こうしてください」と言うことはできません。

暴力団と半グレも、外からは似たように見えるかもしれませんが全然違う集団で、構成員が求めるものは違います。一口に「不良仲間」と言っても、集団のカラーはそれぞれでしょうし、そこに求めるものは人それぞれです。「守ってくれる誰か」や権威性を求める人もいれば、特別な絆や信頼関係を求める人、スリルを求める人など本当にさまざまです。

小川:本人の話を聞いて、まずは理解することが大事。

(写真:伊藤孝一)

出口:それがすべてです。暴力団の離脱指導でやっていたこともそうです。何十回も面接をして、話を聞きます。すると、離脱する人も出てきます。「こういうものを求めていたけれど、別の場所でも叶えられることかもしれない。このまま続けていたら失うもののほうが大きい」と客観的に考え、判断できるようになるんです。

無理に抜けさせようとしても、あっという間に戻りますよ。むしろ、もっとのめり込むでしょう。

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