戦時下のキーウで反転攻勢の根源にみる「頑固さ」 現地識者が語る「領土で妥協して停戦はしない」

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ハラ氏はロシアとは戦うしかないと断言する。

「西側にも停戦交渉を求める動きがあるが、領土に関する妥協によって停戦に至る可能性はない。多くの領土を取ったほうが交渉の時に有利だという人がいるが、ばかげている。

ロシアは交渉しない。ロシアを負かさねばならない。そして、ロシアの体制変換(レジームチェンジ)が起きることを望む。新政権ができたとしても民主的ではないだろう。しかし、プーチン氏が約束した大国としての地位の獲得に失敗したことを示す意味はある」

ロシアの権威主義体制への嫌悪感

ウクライナとロシアはまったく価値観をたがえるという認識が根底にある。

「ウクライナとロシアが兄弟国家という考え方は、共産主義者によって作り出された概念だ。ロシアは国を支配する神聖な権力があるという考え方だが、ウクライナは何にもまして自由を尊ぶ。気に食わなければすぐに政治家を追い出す」

ソ連を構成していただけあって、われわれ日本人のイメージではウクライナとロシアは歴史的、文化的に近いと見がちだが、「全く別の国」とハラ氏は強調する。ウクライナが防衛戦争を進める大本には、ロシアの権威主義体制への嫌悪感があるのだろう。

「新ヨーロッパセンター」のセルジー・ソロドゥキー副所長
「新ヨーロッパセンター」のセルジー・ソロドゥキー副所長(筆者撮影)

キーウの国際問題シンクタンク「新ヨーロッパセンター」のセルジー・ソロドゥキー副所長(44歳)も、ロシアに対する厳しい認識と、防衛戦争を遂行しない限りウクライナは消滅するという強い危機感を語った。

「われわれは、人命を考慮に入れず、国際法を無視し、インフラの破壊も辞さない非常に残酷な国と対峙している。ロシアはその残酷性において予測不可能な国だ。ブチャやマリウポリで起きた惨状を考えれば、長期間の占領で、ロシアの支配を受け入れない人に対して何が起きるかは容易に想像がつく。ロシアの侵略は生存の問題、生か死の問題なのだ」

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