トー横の若者蝕む「市販薬乱用」知られざる実情 生きづらさを抱えた子供が手を出してしまう
実際どのような薬が乱用のおそれがあるのか。
厚生労働省は乱用のおそれのある成分として、以下の6種類を挙げている。これらの成分は、咳止め(鎮咳去痰薬)や風邪薬(総合感冒薬)、痛み止め(解熱鎮痛薬)、鎮静薬、抗アレルギー薬などに含まれている。
エフェドリン
コデイン
ジヒドロコデイン
ブロムワレリル尿素
プソイドエフェドリン
メチルエフェドリン
そして、該当する成分が含まれる市販薬を販売する際には、以下のように取り扱うようになっている。
だが、嶋根さんは、規制をするだけでは市販薬の乱用を止めることはできないという見方をする。抜け道が数多くあるからだ。
例えば、駅前などには多くのドラッグストアがある。1つの店舗が販売個数を制限していても、ドラッグストアを数店舗回れば、容易に複数の咳止めを入手することができる。また、規制対象となっていない市販薬も現実には乱用の対象となっている。
「販売規制は2014年に開始されましたが、この10年間で市販薬の患者さんは減るどころか……。こうした事実を踏まえると、規制による予防効果は限定的と言わざるをえません」(嶋根さん)
薬局側では防ぎきれない側面もある
では、この問題について薬を売る側はどう捉えているのか。大阪など関西地方で薬局事業などを展開するファルメディコ株式会社の薬剤師、和田真治さんはこう打ち明ける。
「医療現場は性善説で成り立っているので、患者さんやお客さんが薬を買い求める場合は、症状があって困っている方という前提で販売します。もちろん、明らかに挙動不審だったり、何箱も購入したりとおかしいところがあれば指摘できるかもしれませんが、どうしても現場レベルでは防ぎきれないところがあると、正直思っています」
とくに最近はコロナの影響もあり、マスクをして入店する人が少なくない。表情や顔色がわかりにくいので、よりいっそう販売をするかしないかの判断を困難にさせているという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら