渡邉:まさに商社の世界もそれと同じです。プロジェクトを進行するにあたって、どんな相手からも信頼されるような人間的な魅力がなければいけません。それを実践するためには、交渉で相手を言い負かすのではなく、Win-Winの関係をどう作れるのかを考えなければいけません。
常見:バンダイナムコエンターテイメントの白崎さんの話と共通するところがありますね。とにかくWin-Winを目指せと。
渡邉:自分たちだけが得をするのではなく、どうすればお客様や協力関係にある方が得をしてくれるのか、それをうまく伝えるためにもやはり信頼関係は大事ですね。
想像力というキーワード
常見:富士通の鈴木さんは後輩を指導する立場にもあるそうですが、若手営業のなかでも優秀な人にはどんな特徴がありますか?
富士通 鈴木悠里衣(以下、鈴木):そうですね。「空気を読める人」は優秀だと思います。
常見:空気を読めるとは?
鈴木:たとえば、先輩社員から仕事の一部を任せられるときに、優秀な人は、以前にその先輩がどんなふうに仕事をしていたのか覚えているので、どう動けばいいのかわかっているんですね。先輩の立場ならきっと次は私にこれを求めるはずだと事前に予測して動いています。
常見:なるほど。
鈴木:それは、社内だけじゃなくお客様と接するときも必要とされます。お客様が私たちの提案したものを上司の方に報告するときには、どんな体裁だといいのかとか、どこに訴求した資料を用意すればいいのかとか先を読まなければいけません。
常見:若手営業は言われたことだけをやるのではなく、自分から進んで仕事を見つけたほうがいいわけですね。
鈴木:そのとおりですが、これは少し難易度が高くて、私が見てきた営業担当者すべてができていたとは思いません。しかし、一般的に優秀だと評価される営業にとっては、必要な能力だと思いますけどね。
常見:会社によっては営業モデルをかっちりと決めて、それをしっかり守らせる会社もありますよね。
鈴木:私たちの会社でもそういう文化は少しあります。最近だと、ある商談をどうすれば契約がとれるのか、それをみんなで考え最適なシナリオを検討する内容の研修を実施しています。でも私たちの提供する商品は、ひとつではなく組み合わせで売ることが多いですし、なかなか実際の商談はその研修の内容通りには進みません。
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