「1本2000万円」サイの角を切る密猟者の残酷手口 邦人サファリガイドが取り組む保護活動の最前線
では、なぜクロとシロという名前で区別されるようになったのか、気になりますよね。
私も気になってサファリガイドの師匠に質問したことがあります。一般的には、シロサイの口について説明する時の「広い」という意味の英語「ワイド(wide)」が、白色という意味の「ホワイト(white)」と聞き間違えられて、シロサイという名前にたどり着いたという説が広まっていますが、実はこれは間違いなのだそうです。
シロサイという名前の歴史は、ヨーロッパ地域から多くのハンターたちが南アフリカにやってくるようになった1690年代まで遡ります。この時代のハンティング日誌に「シロサイ」として狩猟の記録がすでに残っているのです。
当時サイのハンティングが行われていた北ケープ地域は、炭酸カルシウムを多く含む石灰質の地層が広がっています。そのため、このエリアではサイが白い色をした石灰質の泥を体中につけて泥浴びをしていたことから、白色の泥をかぶったサイを見て、「シロサイ」と呼ぶようになったと言われています。
ちなみにクロサイの由来はというと、シロサイが「シロ」なので、対称になる色として「クロサイ」としただけ。予想以上に単純な名づけの理由、これもまた面白いですね!
赤ちゃんサイ・オリビアとの出会いと別れ
昔からハンティングの標的となっていたサイですが、1880年代の植民地時代も乱獲は続き、大量のサイの角が闇市場に流れていきました。中国では頭痛からガンまで様々な病気を治してくれる健康促進の伝統薬として信じられており、今でも根強い需要があります。ベトナムでは「富の象徴」として、置物や装飾品として富裕層に求められています。現在でも闇市場では、サイの角1本あたり2000万円近くの値段で取引されていると言われています。
こうした需要により、サイの角取引が国際条約により禁止された現在も深刻な密猟問題が引き起こされています。かつては世界に50万頭いたサイですが、現在は3万頭もいないと見られています。サイの密猟が一番酷かったのは、2013年から2017年にかけてで、南アフリカでは毎日なんと3頭ものサイが密猟の犠牲になっていました。
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