悩み事でクヨクヨしない人が読書を欠かさない訳 誰かに相談しなくても大抵は解決か軽減できる

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

子供がケガをしたときに「痛いの痛いの飛んでいけー」とおまじないをかけると実際に痛みが軽減するのは、暗示効果もあるでしょうが、「言語情報の流入による不安の除去」の結果でもあるのです。

医者からただ「この薬を飲んでください」と言われても不安なままですが、きちんと薬の説明をされるとそうした不安は軽減します。

「情報」は、人間の不安を和らげてくれるのです。

「脳への言語情報の流入」というのは、「話す」「聞く」「読む」などさまざまなパターンがあります。その中でも人に相談する、人から情報を得るのが最も効果的なのですが、「話す」「聞く」には相手が必要です。

しかし、「読む」のに相手は必要ありません。本1冊分のお金があれば、誰にでも、自分1人で、すぐに実行可能です。

6分間の読書でストレスが3分の2以上軽減

心配事があれば、その対処法について書かれた本を1冊買ってきて読めばいい。「言語情報」によって不安は軽減し、「解決法を知る」ことでストレスも軽減するのです。

本を上手に利用すれば、不安やストレスのかなりの部分を減らし、そしてコントロールできるようになります。

『読書脳』(サンマーク出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

読書には、ストレスや不安を解消する効果がある。では、実際に読書をした人を対象にした研究ではどういう結果が出ているのでしょう。

イギリスのサセックス大学でのストレス解消についての研究では、読書、音楽視聴、1杯のコーヒー、テレビゲーム、散歩、それぞれのストレス解消効果を、心拍数などをもとに検証しました。その結果、読書は68%、音楽視聴は61%、コーヒーは54%、散歩は42%、テレビゲームは21%のストレス軽減効果が見られ、読書が最も高いストレス解消効果が得られるということがわかりました。

また、静かなところで読書を行えば、わずか6分間でストレス解消効果が得られ、即効性があることもわかったのです。つまり、静かな場所で 6分間読書をすれば、ストレスを3分の2以上軽減できるということになります。

樺沢 紫苑 精神科医、作家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

かばさわ しおん / Shion Kabasawa

1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴの イリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。SNS、メールマガジン、YouTubeなどで累計40万人以上に、精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝え、「日本一、情報発信する医師」として活動している。『学びを結果に変える アウトプット大全』(サンクチュアリ出版)、『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)、『脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術』(大和書房)など著書多数。

 

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT