悩み事でクヨクヨしない人が読書を欠かさない訳 誰かに相談しなくても大抵は解決か軽減できる

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「悩み」や「ストレス」を抱えた場合、心理的に余裕がなくなってしまいます。普段から滅多に本を読まない人が、そんな心理状況で本を読めるかというと、読めないのです。

精神科の患者さんは、自分の病気について山ほど質問を投げかけてきます。精神科の外来には、いくつかの病気ごとに「患者さん向けにわかりやすく書かれたQ&A集」が置かれているので、ある程度口頭で説明したうえで、「詳しくは、こちらをお読みください」とその小冊子を渡します。

次回、「小冊子は読みましたか?」と聞くと、多くの方は「読んでいません」と言います。「なぜ読まなかったのですか?」と聞くと「それどころじゃなかったからです」と。

それで結局また、小冊子に書いてあることと同じ質問を、何度も繰り返し聞いてきます。

自分の病気について心配があれば、1冊本を読むだけで、その疑問のほとんどは解決しますし、病気に対する不安や心配もとりのぞかれます。しかし、自分から書店に行って病気の本を買って読んで勉強する、という人は非常に少ない。それどころか、小冊子を渡しても読まないのです。

普段から本を買う習慣、本を読む習慣のない人が、病気になり切羽詰まった状態で本を読めるはずがないのです。

解決法を知るだけでストレスは軽減する

この話をすると、次のように反論する人が必ずいます。

「いくら解決法を学んでも、実際に問題が解決されないと意味がないし、ストレスも減らないじゃないか」

悩み事の解決法がわかっても、悩み自体が解決しなければストレスは続く。

この考え方が間違っていることは、脳科学的に証明されています。

ある動物実験をご紹介しましょう。

2つのケージ(AとBとする)にそれぞれ1匹のマウスを入れて、そのマウスに電気ショックを与えます。Aのケージにだけ、電気ショックを止めるレバーがついています。そのレバーを踏むと、両方の電気ショックが止まる仕組みになっています。したがって、電気ショックを受ける回数、時間は、AとBのマウスは全く同じになります。

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