営業継続と出店拡大こそ地域復興への貢献になる--ゼンショー会長兼社長 小川賢太郎

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食材の放射能を自主検査 産地だけでは判断しない

──自主検査の狙いは。

店舗で出すためには仕方がないことだ。四国のレタスを調べても意味はないが、わかりやすくいえば、原発の隣接地域は“グレーゾーン”。現実的に、風向きなどによって放射性物質が拡散していると思われる地域の食材については、自主検査で念を入れる必要がある。

さらに言えば、自分たちで食の安全に関しての確証を得たい、ということだ。BSE(牛海綿状脳症)をはじめ、残留農薬、重金属イオン、遺伝子組み換えなどの問題について、自ら検査する仕組みをこれまでも構築してきた。

ゼンショーが目指すのは、食の安全の世界基準をあらゆるカテゴリーで作っていこう、統一していこうということ。現在、日本は160カ国から食材を輸入している。一時期は中国産の食材が問題になったが、産地だけで安全性は判断しない。そのために自前の検査態勢は不可欠だ。

 

 

--しかし、3月19日には自社ホームページに、「福島県産の牛乳は使用しておらず、茨城県産のほうれん草は安全確認ができるまで使用を停止する」と掲載しています。

生産者への風評被害の面で難しい問題だ。だが、この時期は消費者から問われる段階だった。外食トップ企業として、当初は食材の産地を明示する義務があったと考えている。

ここまでの事態は想定していなかった、というのが正直なところだ。

──今後の成長路線に変更はないですか。

2020年3月期に売上高8000億円、経常利益800億円、海外売上高比率30%を目指すという、従来の成長路線に変更はまったくない。東北地方を含めた年間300店の出店計画も継続する。

東北では震災で雇用機会が減っており、営業の継続、出店の拡大が地域貢献にもなる。日本全体では、就業者人口の73%を流通・サービス業界が担っている。雇用の観点からも外食産業が果たす役割は大きい。

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おがわ・けんたろう
1948年石川県生まれ。68年東京大学へ入学するが、中退。港湾荷役会社、吉野家を経て82年ゼンショー設立。2000年ココスジャパンを買収し業態拡大路線に。

(聞き手:二階堂遼馬 撮影:今 祥雄 =週刊東洋経済2011年5月14日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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