営業継続と出店拡大こそ地域復興への貢献になる--ゼンショー会長兼社長 小川賢太郎

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──強気すぎる見方では。

今回の震災によって日本全体で15兆~20兆円の打撃を受けたといわれるが、1945年夏の終戦時はもっと壊滅的な打撃を受け、都心部の多くは焼け野原だった。それから23年で、日本はGDP(国内総生産)世界2位になった。日本にはそういった人的蓄積がある。それに加え、今は1500兆円前後の個人金融資産に代表されるおカネの蓄積もある。1945年に比べ、はるかに大きな復興のための蓄積を持っている。

上の世代の人たちは、戦後の復興経済を達成してきたのだ。われわれの手掛けるフードビジネスは、胃袋の数が激変するわけではないので需要が大きく変わることもないが、住宅、車、テレビなど、ハードウエアについての復興需要は間違いなく高まる。そうなれば個人消費も活性化するのが、当然の法則だ。

私も4月上旬に宮城県多賀城市を視察した。新聞やテレビでの報道を見て、壊滅的な風景を想像していたが、インターチェンジを下りて現地へ1時間半ほど車で走っても、典型的な農村風景が続き、古い家にはひび一つ入っていない。被災地といっても、被害が深刻なのは、たとえば海岸から距離3キロメートル、全長300キロメートル程度の範囲に限られる。鳥瞰図的に見れば、その部分とほかの被災地とは分けて考える必要がある。

価値判断ではなく事実に基づき、行動すべきだろう。自粛は、復興と正反対で意味のないことだ。

──東京電力福島第一原子力発電所事故により、周辺地域に放射性物質が拡散しました。今なお農水産物から暫定規制値を超える放射性物質が検出される状況が続いています。

3月28日から放射性物質の自主検査を始めた。ロシア製の機器の在庫が韓国にあるというので、至急手配した。さらに精度の高い米国製の機器も手に入れた。

現在、北関東の契約農家を対象に自主検査を行っている。野菜は週3回、卵は週1回無作為に抽出し、サンプルをすべて神奈川県川崎市にある中央分析センターに送っている。基準としては食品安全委員会が設けた暫定規制値を使用している。センターで大丈夫と判断した食材を店舗で使用している。

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