精神科10年通院うつ病患者を治した"意外な治療" 高血圧や気管支喘息の原因は「無呼吸症」かも?

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ナビタスクリニックではまず、高血圧の初期スクリーニング、つまりほかの病気によって血圧が上がっている「二次性高血圧」と、とくに原因の特定できない「本態性高血圧」を鑑別するため、検査の一環でSASの有無をチェックした。

その結果、重症のSASが見つかった。説明のうえで、いわゆるCPAP(シーパップ、Continuous Positive Airway Pressure、持続気道陽圧換気)治療を開始した。

すると翌月、さっそく患者さんから「すこぶる体調がよくなった」との報告を受けたのだ。抗うつ薬を飲まなくても気分がよくなったという。それでも一応、精神科の主治医と相談のうえで最低量の抗うつ薬を、さらに半分にして継続しておく方針となった。

私は、患者さんのQOLを大きく向上できた喜びとともに、10年以上にわたるご本人の苦しみを思うとなんだか申し訳なく、複雑だった。高血圧がなければ出会わなかった患者さんだ。そういう“うつ”患者さんはきっと世の中にゴマンといることだろう。

低酸素が「心血管病」、口呼吸が「喘息発作」を引き起こす

うつだけではない。最新研究でも、SASだと就寝中の低酸素と呼吸の乱れが、心血管病のリスク因子になると報告されている。要するに、ずっと息こらえをしているような状態なのだ。交感神経が緊張し、血圧や血糖値が高くなり、血管の老化も早まる。長期的には認知症のリスクも上昇するので、まるでいいことがない。

また、「私は気管支が弱い」「私は喉が弱い」などと感じている方も一度、SASを疑ってみるといいだろう。

とくに、「気管支喘息」できちんと治療を受けているのに安定しない人は、SASの検査をお勧めしたい。

喘息とSASが関連することは、すでに数々の報告で明らかにされている。

鼻は、空気中のチリなどのフィルター機能と、温度や湿度の調節機能を兼ね備えている。だが、SASの人は寝ている間、「口呼吸」になっていることが多い。口呼吸では鼻を通さず空気を吸うので、気管支の粘膜が乾燥し、アレルギーの原因物質が付着したり、低温刺激をうけたりして、炎症が起きる。

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