精神科10年通院うつ病患者を治した"意外な治療" 高血圧や気管支喘息の原因は「無呼吸症」かも?

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喘息に対しては基本、副腎皮質ステロイドと気管支拡張薬の合剤を吸入して、発作を起こさないようにする治療が行われる。そうした治療を受けていても喘鳴(気道が狭くなり呼吸時にヒューヒュー音がする)があり、夜中にたびたび咳き込むようなコントロール不良の方は、SASの検査を受けてみるといいだろう。

SAS治療を開始したら喘息の症状が非常に安定した、という方は多い。

「喉の風邪」「いびき」「肥満」の人も要注意

また、口呼吸だと、喉が乾燥して痛くなりやすい。大人なのに1〜2カ月おきに風邪で受診する人がいるが、喉が乾燥して、異物を排除する粘膜の「せん毛」の働きが落ち、感染しやすくなるためだ。CPAP治療を始めたところ、ほとんど風邪をひかなくなった、というケースにもしばしば遭遇する。口呼吸の悪影響はそれほど大きい。

口呼吸なら、口が渇いて気づきそうなものだが、患者さんの多くは「いいえ、朝起きた時も口の中は乾いていないので、私は口呼吸になっていないと思います」と言う。

わからないのも致し方ない。睡眠はざっくり、体は寝ているが脳が起きているレム睡眠と、体も脳も寝ているノンレム睡眠に分けられる。ノンレム睡眠のときは、舌がノドに落ち込み、無呼吸が生じやすい。覚醒するまでには体が起き始め、筋肉の緊張が戻り、舌の垂れ込みも改善し、口を閉じて鼻で呼吸できるようになる。起きたときにはもう口を閉じているから、渇きを実感しないのだ。

ここまで読んでもまだ、ひとごとくらいに思われているかもしれない。要するに、「自分はSASだ」と自分で気づくことは難しい。

だったら「いびき」はどうだろう? いびきの原因は舌の付け根の落ち込みなので、大きないびきはSASのサインでもある。CPAP治療をするといびきが小さくなるので、寝室を同じくする家族等には大いに喜ばれる。

また肥満気味の人も無関係ではない。SASでは慢性的な睡眠不足状態となり、睡眠不足だと食欲抑制ホルモンの分泌が低下するため、太りやすいからだ。

SASを治療すれば、日中の眠気や頭痛、肩こりなどが改善し、仕事の能率が上がるばかりか、やせやすくなるなど美容上のメリットもある。

次ページ次のような症状のある人はSASを疑ってみるべき
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