「エネルギー地政学」で最重要国となったトルコ 世界のパイプラインがトルコに結集する現実

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このようにトルコからのパイプラインは、南ヨーロッパのイタリアやギリシャといった国々、そして、ルーマニアやブルガリア、ハンガリー、さらにはバルカンの国々にとっても脱ロシア、脱石炭を図るうえで重要な意味を持つものとなっています。

世界の天然ガスがトルコに結集

一方で、ロシアとしてもウクライナルート、ドイツ直結ルートが使えなくなった今、天然ガスをヨーロッパに輸出しようとする場合は、トルコを経由せざるをえません。

また、アゼルバイジャン、カザフスタン、トルクメニスタンなどのカスピ海諸国も、ロシアを通らずにヨーロッパに輸出する場合はトルコを通る必要があります。さらには、イラン、イラクもトルコを経由せざるをえず、世界の天然ガスがどんどんトルコに結集してきているのです。

このように、世界のエネルギー戦略上、トルコの存在はますます大きくなっています。いまや、パイプラインの集積するトルコ回廊のキャパシティーはウクライナルートとほぼ匹敵する規模に拡大しています。

ロシアのウクライナ侵攻を受け、トルコ回廊は今後ますますキャパシティーを増やし、より大きな存在になっていくことでしょう。今後もロシアやNATOの動向をめぐっては、トルコの動きから目が離せない理由がここにあるのです。

平田 竹男 早稲田大学教授/早稲田大学資源戦略研究所所長

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ひらた たけお / Takeo Hirata

早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。早稲田大学資源戦略研究所所長。1960年大阪生まれ。横浜国立大学経営学部卒業、ハーバード大学J.F.ケネディスクール行政学修士、東京大学工学博士(環境海洋工学専攻)。1982年通商産業省(現経済産業省)入省。在ブラジル日本大使館一等書記官、資源エネルギー庁石油天然ガス課長等を歴任。2002年に日本サッカー協会に転職し、専務理事就任。2007年より早稲田大学に資源エネルギー関連の講義を開設、15年以上にわたって全学部を対象とした講義を行っている。2013年から2021年まで安倍晋三政権及び菅義偉政権において内閣官房参与(資源戦略担当)。

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