学校の放射能汚染、暫定基準に安住する政府、不安が増幅するばかりの福島県民
わが子を学校に通わせていいものか。政府が言うように、本当に健康に悪影響はないのか--。
福島県内の子を持つ親の心情を思うと、とても胸が痛くなる。
4月上旬に福島県が県内の小中学校、幼稚園などを対象に行った放射線量の調査で、福島市などをはじめ、一部の学校で高い放射線量が記録されて以来、児童・生徒の学校生活に大きな不安が生じている(→参考記事:確実に広がる放射能、福島県内学校の75%が放射能「管理区域」レベルの汚染)。
この結果を受けて文部科学省は4月19日、「福島県内の学校使用についての暫定的考え方」を発表、年間の放射線量が20ミリシーベルト以内であれば学校使用に差し支えがないという判断を示した。この決定が、さらなる不安を募らせている。
「わが子にできるだけ放射線を浴びさせてたくない」。そんな思いから、父兄らが校舎の洗浄などに取り組み始めた学校もある。また、郡山市など自治体でも、高い放射線量が記録した学校の校庭の土を除去する作業を進めている。
5月1日には福島県で、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」が発足、不安を抱える親たちが結集し、放射線量の自主測定などを実施していくという。
一部地域では空間線量率もやや低下している地域も出てきた。それでも、「20ミリシーベルト」という基準が、父兄や自治体関係者を、極限にまで悩ましている。
「20ミリシーベルト」という数字は、国際放射線防護委員会(ICRP)が「非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル」とする年間1~20ミリシーベルトから、「暫定的に」設定したもの。
「参考レベル」とは、「これを上回る線量を受けることは不適切と判断されるが、合理的に達成できる範囲で、線量の低減を図ることとされているレベル」と文科省は説明する。
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