学校の放射能汚染、暫定基準に安住する政府、不安が増幅するばかりの福島県民
さらに、このレベルは、「16時間の屋内(木造)、8時間の屋外活動の生活パターンを想定すると、年間20ミリシーベルトに到達する空間線量率は、屋外で1時間当たり3.8マイクロシーベルト、屋内木造で同1.52マイクロシーベルト」という計算から導き出されたもののようだ。
ところが、市民団体や父兄らが自主的に測定した結果は、校庭のある部分では3.8マイクロシーベルトをはるかに超える、あるいは地面では県の測定結果よりもはるかに高い数値が出てきたところもある。
この暫定基準は、原子力安全委員会の助言を元に決められたが、あまりにも単純な計算で出されたのではという印象を持つ。
さらに不安を煽るのが、ICRPが1~20ミリシーベルトとしているのに、なぜ最も緩い基準を参考にしたのかという点だ。しかも、原子力安全委員会がどのような議論を経て「20」という数字を出したのかもわからない。すでに信頼を失墜している原子力安全委員会が、さらに信頼をなくす行動をどうしてするのか、まったく理解に苦しむ。
原子力安全委員会の指針では、年間20ミリシーベルトは「屋内退避」のレベルだ。「健康上の問題はなく、外出時は肌を露出しないようにすべき」としており、それを受けて文科省はじめ政府は「健康に問題はない」とする。
と言いながら、「できるだけ低く抑えるため」とし、校庭・園庭等の屋外での活動後等には、手や顔を洗い、うがいをする、といった助言を出している。健康に問題はないとするのであれば、このような助言を示す必要はないはず。この点で矛盾を感じる父兄たちも少なくはないはずだ。
そのような助言までするならば、年間1ミリシーベルトと厳しいほうに基準を置き、できるだけ浴びさせないような行動指針、あるいはこれ以上被曝量を増やさないような施策を福島県や自治体、学校側に徹底して指導すべきなのが文科省の役目ではないのか。
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