ただ寄付するだけではダメ! 企業の社会貢献にはコミュニティ投資という考え方が必要


 非営利団体と市民社会について研究を行う米ハーバード大学のハウザーセンターは、08年の四川大地震後に北京市民を対象にしたアンケート調査を行った。その調査によると、寄付した人のうち50%は、「自分たちの寄付は被災者のニーズに合っていたのか知りたい」と回答している。中国政府はそういう市民の声を受けて緊急時の寄付金の適切な使い方に関するガイドラインを作った。

たとえ災害緊急時に行った企業による寄付金の支払いであっても、企業が資金を出すということはある意味「投資」であるから、有効に活用されることは言うまでもなく、その「投資」がどうだったかについて説明責任がある。「よいことに使った」から何に使われたか説明しなくてよい、ということはありえないのだ。

たとえば、企業が出す寄付金には、店頭に募金箱を置いて顧客から寄付金を募ることもあれば、社員から寄付を集めて会社側は同額をマッチングして寄付する(マッチングギフトという)こともある。どのような場合でも寄付金にはステークホルダーへの説明責任が付きまとうことは言うまでもない。

日本ではまだ例を知らないが、アジアの先進企業には、いわゆる企業の社会貢献活動をコミュニティへの投資ととらえ、その社会貢献活動がそのコミュニティと企業にどんなインパクト(影響)があったかを測定する「コミュニティ投資」という考え方が浸透している。

具体的には、寄付金、物品寄付、社員ボランティアなどは企業から地域へのインプットで、それによってもたらされた住宅や学校等をアウトプットだとすると、インプットした側もアウトプットを受けた側にも何らかのインパクトが生じているだろうから、それをきちんと測定しておこうというものである。

この「コミュニティ投資」が注目されている背景には、1つには、企業として大切な資源であるヒト・カネ・モノを拠出するからには、いくら「よいことに使った」からといってもステークホルダーに対して説明責任を果たすべきだという考え方がある。
 
 もう1つには、社会貢献活動を単発的なことではなく継続的なものとして地域が求めているニーズに応えようという姿勢がある。

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