「60歳過ぎの夫」と仲良く暮らす妻たちのリアル 定年、介護など様々な出来事にどう夫婦で対応するか

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「でも、長く飼っていた愛犬が死んでしまったときは、1人じゃなくて本当に良かったと思いました。私には主人という味方がいてくれるんだな、と」

大輔さんの母親は千葉県で1人暮らしをしており、2人はできるだけ頻繁に通ってお世話をしている。美紀さんは義務感からではないようだ。

人生の終盤にいることを実感すると優しくなれる

「90歳になる義母はとてもいい人なんです。精神的に常に安定していて、近くにいて安心感があります。デイケア施設でも人気者で、みんなが義母のところに来ておしゃべりをしています。私もおしゃべりにしに行くだけですが、受け入れてくれていることがとにかくありがたいです。できるだけのことをしてあげたい、という気持ちになります」

実の親よりも結婚相手の親のほうに親しみを持てたりすることもあるのは、結婚の面白さの一つだと言えるかもしれない。初婚である大輔さんのほうは「人と一緒に暮らすことは想像もしていなかった」と言いつつ、気の合う異性と暮らす楽しさを味わい続ける毎日だ。

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「独身時代もそうでしたが、自分と同じような環境にいる人は必ずいて、そういう人との付き合いが多くなります。今は、子どもがいない夫婦同士で仲良くなったりしていますから。自分は勝ち組だなんてまったく思いませんが、居場所を知らせ合って気遣い合える関係性はいいなと感じています」(大輔さん)

ここまで3組の年の差カップルのその後について取り上げた。夫婦喧嘩が少ない、もしくは喧嘩が成り立たない、という印象だ。年下が年上に甘えている面もあるが、それ以上に人生のステージが異なるのでぶつかりにくく、年上が年下のサポート役に回れることが大きい、と感じた。人生の終盤にいることを実感すると、「後輩」に優しくなれるのかもしれない。

この記事の後編ではほぼ同世代との超晩婚を果たした3組を取り上げていく。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。
大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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