ちょうど旅行先の大分県にいて、旅館での夕食前だという邦子さん。嘆きながらも、明るいエネルギーを発しているのは以前と変わらない。その後ろには浴衣姿の康夫さんが座っている。快気祝いとして、邦子さんの両親を招待しての温泉旅行をしているらしい。邦子さんは全員を画面に写して紹介してくれた。
会話も仕切りも上手な邦子さんに任せていると彼女の面白い話で終わってしまいそうだ。今回は康夫さんにバトンタッチしてもらおう。康夫さん、20歳の年の差婚はいかがですか。義理のお父さんとの年齢差は2歳しかないと聞きましたが……。
「それは結果でしかありませんし、邦子の父親よりも見た目では私のほうが老けてます(笑)。私は敬語を使って『おとやん、おかやん』と呼ばせてもらっていますし、あちらからは当然ながらタメ口です。私はちゃん付けで呼んでもらっています」
「介護生活に備えて体力をつけておかなければ」
運送会社の役員を長く務めていた康夫さん。今年6月に顧問も退任し、悠々自適な日々を送っている。邦子さんが大阪の実家に戻っていたときは、「朝3時に目が覚めて缶チューハイ。9時にまた起きて缶チューハイ」な生活だったらしい。体調を壊すのも当然だ。ちなみに2人とも喫煙者である。
「健康に気遣って寿命が2年延びるぐらいなら、好きなことをして2年縮まったほうがいいです」
康夫さんはちょっと斜に構えたところはあるけれど、人の良さのようなものがにじみ出ている。邦子さんとの出会いがそうだったように、酒場で人気者になるタイプのおじさんだ。
「夫婦喧嘩はしょっちゅうですが、気の強い嫁ですからね。論理的に説明しても、感情的に説教しても通じません。(康夫さんが正しいという)証拠を目の前に突きつけると、黙ってそっぽを向く(笑)。『ごめんなさい』とは言わない人です」
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