スマホからブラまで「舞台にモノ投げる人」の目的 パフォーマーと観客の境界線があいまいに

拡大
縮小
ベベ・レクサは6月のコンサートで、観客がステージに投げたスマホが額にあたり、ケガをした(写真:Backgrid/アフロ)

2023年、コンサートとはいったい何のためにあるのかわからなくなっている。音楽の生演奏を見るために参加するのか?それとも、何らかの形でショーの一部になるため?それとも、バイラル・コンテンツを作るのに最適なセッティングを見つけるため?

コンサートの主役はステージにいるのか、それとも観客の中にいるのか?

少なくともオンラインでは、どちらでもあり得る。その理由の1つは、ステージと観客の間のバリアが、かつてないほど穴だらけになっているからだ。ここ数週間、アーティストに向かって物が飛ばされる事件が相次いでいるが、これはファンが、自分が参加しているパフォーマンスに自分自身を挿入する方法を模索していることの表れだ。

客席からスマホが飛んできてケガ

しかし、ポップ・スターもこれには賢明で、ソーシャルメディアに触発された侵略的な時代には、観客に触れられることが強力なマーケティング・宣伝ツールになることを理解している。

6月、ポップシンガーのビービー・レクサは、客席から飛んできたスマホが額にあたり、目の周りを縫う怪我を負った。加害者とされる男は警察に、スマホを彼女に当てたら「面白いだろう 」と思ったと供述している。

ファンがパフォーマーにスマホを渡し、写真やビデオを撮るように頼むのはよくあることだが、飛んできたスマホは要求であり侮辱だ。コンサートという場であっても、ファンは自分たちがスターをコントロールしているように感じているのであって、その逆ではないということを、しつこく思い起こさせるものだった。

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT