「空き巣」が狙わない家が"やっている防犯対策" マンションは高い防犯性を誇るゆえに隙が生まれる

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住宅密集地にある一戸建てでは、1階の屋根や隣家のバルコニーが侵入者の「足がかり」となってしまうことにも注意が必要だ。また、複雑な構造の住宅、昔ながらの古い住宅も足がかりや死角が多い傾向にある。

補助錠や防犯フィルムを取り付ける、防犯カメラやセンサー付きライトを設置する、庭先に音の出る砂利を敷くなど、アイテムを複数組み合わせ、二重三重の防犯対策を講じておくことをおすすめする。

また、侵入犯が何より嫌うのが「人の目」だ。近隣住人と交流し、地域で協力して防犯に当たることが犯罪の抑止につながることも付け加えておきたい。

自動車盗難にも気をつけたい

住宅への侵入だけでなく、高級車を狙った盗難被害も相次いでいる。前出の警視庁の資料によれば、自動車盗難の約10%が中高層(4階建て以上)住宅で発生しているという。

駐車場の形式で見ていくと、平面式駐車場での盗難リスクは高い一方で、維持費の面で課題の多い機械式立体駐車場での盗難リスクは低い。メンテナンスや使い勝手などで俎上に上がることの多い機械式立体駐車場ではあるが、防犯面では一定のメリットを有していることにも着目しておきたい。

(画像:筆者作成)

一戸建て住宅では、盗難防止装置「イモビライザー」の機能を無効にしてしまうイモビカッターや、スマートキーを活用したリレーアタックによる手口、また、車の制御機能を担うCANシステムに侵入する手口など、いわゆる「ハッキング」に近い手口の犯行が増えている。

ハイテクかつ巧妙化する手口に対し、ハンドルロックやタイヤロックなど、物理的に車を動かせないようにする対策、追跡アプリの搭載までさまざまな防犯対策が存在する。

一方、対策を講じていたものの在宅時に玄関が無締まり(無施錠)だったため、玄関に置いてあった車のキーをそのまま盗まれ、気づいたら愛車がなくなっていたという事例もある。どんなにハイテクなセキュリティ対策を施しても、住宅に侵入され車の鍵を盗まれたら無意味なのだ。ほんのわずかな外出でも必ず鍵を閉める習慣が、自宅や愛車、ひいては家族や自らの身の安全を守ることにつながる。

在宅時の無締まり(無施錠)は、人がいても侵入してくる「居空き」「忍び込み」といった犯行のリスクもある。在宅時に侵入者と鉢合わせれば、命が危険にさらされることにもなる。留守時の防犯対策はもちろん、在宅時にも常に気を配り、二重、三重の対策を意識して行う必要があると言えるだろう。

長嶋 修 不動産コンサルタント(さくら事務所 会長)

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ながしま おさむ / Osamu Nagashima

1999年、業界初の個人向け不動産コンサルティング会社『株式会社さくら事務所』を設立、現会長。以降、さまざまな活動を通して“第三者性を堅持した個人向け不動産コンサルタント”第一人者としての地位を築いた。国土交通省・経済産業省などの委員も歴任している。主な著書に、『マイホームはこうして選びなさい』(ダイヤモンド社)、『「マイホームの常識」にだまされるな!知らないと損する新常識80』(朝日新聞出版)、『これから3年不動産とどう付き合うか』(日本経済新聞出版社)、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)など。さくら事務所公式HPはこちら
 

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