【尿酸値】痛風の天敵「プリン体」対策の落とし穴 「ゼロなら安心」とは言い切れない理由とは?

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では、尿酸値が高い場合、具体的にどんなことに注意を払ったらいいのか。我々が真っ先に思いつくのが「プリン体」だろう。

やはり、尿酸値を上げる大きな原因であることから、プリン体の摂りすぎには注意が必要だと、谷口さんは言う。プリン体は食物全般に含まれる“うま味成分”でもあるので、つい摂りすぎてしまうが、意外な摂り方の盲点もあるようなので見ていこう。

そもそもプリン体は、生物の細胞内にある核酸を構成する成分で、体のエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)もプリン体である。ATP以外のもさまざまなプリン体があり、これらら新陳代謝を受けて最終的に作られるのが尿酸だ。

尿酸は肝臓で作られたあと、約70%は腎臓で濾過されて尿と一緒に排出され、残りは消化管から排泄される。プリン体の多い食べ物を摂りすぎると尿酸がたくさん作られてしまうため、排出が追いつかずに血液中に溜まり、高尿酸血症になる。

なぜビールに多く存在するのか。これについて谷口さんは、「ビールを作るために必要な酵母はDNAやRNAの塊で、そのなかにはプリン体が多量に含まれています。麦芽にも多く含まれます」と説明する。

問題はビールだけじゃない

ただ、ビールの場合、“プリン体だけが尿酸値を上げる原因ではない”とのこと。

「実は、アルコールそのものにも尿酸値を上げる作用があるので注意が必要です。アルコールが体内で分解されるにはATPをたくさん使いますので、尿酸が増えてしまうのです。また飲みすぎると尿酸が尿から出にくくなります」

したがって、プリン体ゼロのビールだから安心と、飲みすぎていいというわけではない。同じ理屈で、プリン体の少ないウイスキーや焼酎はアルコール度数が高く、飲みすぎれば当然、尿酸値が上がる。

「アルコールそのものが、尿酸値によくないと考えたほうがいい」と谷口さん。1日の推奨酒量(男性)はビール中瓶1本、ワイングラス2杯、ウイスキーダブル1杯、焼酎ストレートで0.5合程度のいずれかだという。

アルコール以外ではどんな注意が必要か。谷口さんは次のように説明する。「来院される高尿酸血症の患者さんには、レバーなどの内臓類はプリン体が多いため、できるだけ避けるようにアドバイスします」。

1日のプリン体の摂取量を400mg以下に抑えることも大切だ(プリン体の量についてはこちらを参考ください:忍び寄る「痛風」敵はビールや魚卵だけじゃない!)肉や魚は、普通盛りで1人前(肉なら200g程度、魚なら80g程度)以上は食べないようにしたい。

ほかにも、魚介類や魚類の干物、魚卵などの食べすぎはよくないという。

一方で、最近では、“プリン体が多くても、痛風になりやすいとはいえない食べもの”があることがわかってきている。

「たとえば、野菜。ブロッコリーやきのこ類にも多く含まれていますが、これらは尿酸値に影響を及ぼさないようです。魚介類ではEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を含む青魚は問題ないという報告があります。干し椎茸や鰹節にもプリン体は多く含まれていますが、出汁として使うのであれば気にしなくて大丈夫です」(谷口さん)

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