避けたほうがいいのはプリン体だけではない。
甘味飲料(ジュース)も摂りすぎに注意だ。果糖や砂糖が含まれており、尿酸値を上げる原因になるからだ。では、果物はどうかというと、1日200g程度(みかんやキウイなら2個、リンゴやナシなら1個)までなら、健康面でむしろ摂ったほうがいい。
一方で、積極的に摂取したいのは、低脂肪乳製品やコーヒーだ。どちらも尿酸値を下げる作用があることが研究などで示されている。
地中海食もよい。魚介類を中心に、果物や野菜をたくさん摂り、オリーブオイルやナッツ類、豆類、全粒粉など未精製のパンやパスタなどを用いた料理と一緒に適量の赤ワインを飲むという食生活だ。同様な理由で、高血圧予防・改善に役立つDASH食(英語の「高血圧を防ぐ食事法」の略。魚介、野菜、果物など中心の食事)もいい。
水分摂取で尿酸を排出
心臓病などの持病がない限り、水分をたくさん摂ることも大切だ。
「腎臓から濾過される尿酸の量が増えます。普通の食事でも1〜1.5Lは水分を摂っていると思いますが、尿酸値が高い方はさらに0.5〜1L程度の水を飲むように。夏の暑い時期はもう少し多めに摂ってもいいでしょう。お酒を飲むときも、チェイサーとして水を飲むのを習慣にしましょう」(谷口さん)
尿酸値を下げるには、適度な運動で肥満を防ぐのも必要だという。
台湾で発表されたデータを基にすると、推奨される運動量は、速歩や軽いジョギングやのんびりした水泳、卓球、ラジオ体操などを30分程度、週に5回だそうだ。
「急に激しい運動を始めるのは必ずしもよくありませんが、日常的に運動をするなかで、徐々に運動の強度を上げて持続できるのであれば、運動の種類は問いません。運動は続けることが大切なので、ご自身で持続可能な運動の量や種類を選んでいただくのがよいでしょう」(谷口さん)
健診などで尿酸値が高いと指摘されても、「自分だけは大丈夫」と、何も対処していない人は多いのではないだろうか。しかし、痛風発作はある日突然やってくる。そのときになって後悔しても遅いのだ。谷口さんはこうアドバイスする。
「尿酸値が上がる原因は何かしらあります。血圧、血糖値、中性脂肪値が高いなどの問題があれば、まずはそこを改善する。特に肥満には注意が必要です。肥満の定義はBMI(※)で25以上ですが、肥満度が高いほど尿酸値が上がりやすいことは確かです。まずは食生活の見直しや運動で体重を落とすところからでも始めてみてはいかがでしょう」
※ボディマスインデックス。肥満度を表す指数。体重(kg)を身長(m)の2乗で割った値で22が標準値。
(取材・文/伊波達也)
谷口敦夫医師
1983年、三重大学医学部卒業。1985年、東京女子医科大学附属リウマチ痛風センター助手。1991年、アメリカカリフォルニア大学サンディエゴ校研究員。2003年、東京女子医科大学附属膠原病リウマチ痛風センター助教授。2018年、同大膠原病リウマチ内科学講座教授。2020年6月より現職。日本痛風・核酸代謝学会理事、日本リウマチ学会評議員・指導医・専門医、日本脊椎関節炎学会理事。『大丈夫!何とかなります 尿酸値は下げられる』監修(主婦の友社)、『マンガでわかる痛風の治し方』著(主婦の友社)ほか著書多数。
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