ユニクロ、悲願の再参入で「らしくない」失態 4年ぶりのシューズ販売に勝算はあるか

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アパレル専門店においても、店頭での商品展開にその流れの影響は出ています。各アパレルブランドのバイヤーがその目利きからナショナルブランドのシューズをチョイスして店頭に並べるブランドもあれば、シューズメーカーとアパレルブランドとのコラボシューズの開発に取り組むブランドもあります。

ユニクロユーザーにはどう響く?

どのブランドも、シューズを含めたファッション小物の展開量を増やすことで、自らのアパレル商品とのトータルコーディネートに力を入れている様子が伝わってきます。消費者にとっても、シューズ専門店の商品が豊富すぎて選択に迷うよりも、ファンになっているアパレルブランド一押しの商品を選択する方が、かえって安心して使用できたりする利点もあります。

ここにユニクロシューズの商機がありそうです。ユニクロは決してトレンドを追うブランドではない。最も重要なのは、ユニクロユーザーは品質が確かで、安心して着用できる製品を求めていることです。

スニーカーに関していえば、ここ2年余りで先に挙げた伝統的なシューズから、カラフルスニーカー、ハイテクスニーカーと、ほぼ考えられるシューズのすべてが出そろいました。流行やブームというのは、一段落した後は必ずシンプルなものに戻る傾向にあります。

そのタイミングが今。ユニクロが投入したスニーカーは、1940年代に誕生し、多くのテニスプレーヤーに愛されたコンバースのスキッドモデルを模して、機能性や耐久性などを高め、性別を問わないユニセックスタイプとして開発したモデルです。おしゃれな男性だけでなく、女性などにも目を付けてもらおうとしているのです。

さらにはシューズを世界展開できる素地も整いつつあります。ファーストリテイリングの2015年8月期業績見通しは、売上高が1兆6500億円(前期比19%増)、営業利益2000億円(同53%増)。このうち海外ユニクロの拡大が全体を牽引しています。

2011年ごろのファーストリテイリングは国内ユニクロ事業が全体の7割以上を占め、海外は1割強でしたが、今は海外ユニクロが3割以上に高まってきています。今回のシューズ販売は前回と違って、世界戦略を見据えた展開も可能なのです。実際に韓国では4月13日、中国と米国では同20日からシューズが先行販売され、6月8日にはフランスでも発売される見込みです。

初回生産ロットの見誤りという「らしくない」失態はあったものの、逆に言えば好調な出足を切ったともいえるユニクロのシューズ再参入。今度は一気に世界にはばたく夢も描きつつ、総合力が試されるときが来ているようです。

大ナギ 勝 ムービングオフィス代表

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おおなぎ まさる / Onagi Masaru

(株)ムービングオフィス代表取締役、一般財団法人ニッセンケン品質評価センター アドバイザー。杉野服飾大学非常勤講師。青山学院大学法学部卒業後、高級婦人服ブランドを日本一売る(株)レリアンに入社。営業部、企画部、バイヤー兼MDを経て、宣伝部へ。女優・天海祐希さんを起用した、同社では30年ぶりのTVCMでは制作担当責任者として、企業ブランドを新たに確立。その後、システム情報部の責任者も務める。2013年独立。著書として「商品よりも『あと味』を先に売りなさい」(日本実業之出版社)がある。http://www.movingoffice.jp/

 

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