ユニクロ、悲願の再参入で「らしくない」失態 4年ぶりのシューズ販売に勝算はあるか
同日開かれたユニクロ経営幹部による会議の席上でも、「シューズの生産に関しては継続的に前倒ししていく」という議論が交わされました。4月29日の新聞折り込みチラシでは『新作』としてスニーカーが枠囲いの広告で紹介されていたものが、5月2日、5月5日のチラシには掲載されていませんでした。
欠品による売り上げ機会損失をいちばんのリスクと考えている企業であるはずのユニクロが、スタート時点で数字を読み誤ったようです。しかもGWというかきいれ時に。かねてから、1品番あたりの生産ロットについて最低100万着であるべきというのがファーストリテイリング柳井正会長兼社長の持論であったはず。今回はどうしたことでしょう。プレス発表をして各媒体で大きく取り上げてもらいながら、肝心な商品を十分に店頭へ供給できませんでした。ユニクロにしては珍しい戦略ミスで、一般的な小売業としても考えられない不本意な出来事です。
はたして、今週末までに追加生産分が間に合い、上記通達内容が解禁され、ゴールデンウイークの売り逃し分を挽回できるのか。さらには夏休みの大量販売にむけて生産が軌道にのり、チャンスをものにできるのか。ユニクロの力が試されています。
勝算は見えているのか?
それにしても、ユニクロが一度失敗したシューズ事業。勝算は見えているのでしょうか。一部の業界関係者からは「遅きに失している」「アパレルと靴は違う」などという厳しい声が漏れ聞こえています。
しかし、柳井社長はじめ経営陣がそのようなことを理解しないで再参入に踏み切ったとも考えにくい。
ここ数年来のウォーキングを中心にした健康志向の高まりからか、スニーカーブームと呼ぶにふさわしいほど、各シューズ専門店、メーカーのスニーカーがよく売れています。アディダスの「スタンスミス」、コンバース「オールスター」、ナイキ「コルテッツ」など、半世紀どころか1世紀近くも前に一世を風靡したモデルが、今でも世界中で人気モデルとして顕在しています。
街中をリサーチしていても、若い男性ばかりではなく、女性はもちろん、その昔になじんだシューズとしてシニア層にも長い間にわたって受け入れられていることがわかります。健康志向によるスニーカー人気は、すでにブームなどではなく習慣になっているといってもいいでしょう。
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