大手商社も参入!人手不足の「空港改革」最前線 経験と勘頼みの職人技をAI、ロボットで自動化

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ANAはロボットを利用した手荷物のコンテナ積み込み作業も佐賀空港で実証し、実用化に向けて検証を重ねる。

カメラとセンサーで荷物を感知してロボットがコンテナに荷物を積み込んでいくが、「手荷物の大きさや形は全然違う。バランスが悪くなって荷崩れしたり、途中で詰める場所がなくなってしまったりする。多種多様なスーツケースをきれいに積むのは難しい」(山本リーダー)。

ロボットを利用した手荷物のコンテナ積み込み作業の実証実験(写真:ANA)

こうした積み込み作業を含めると、例えば大型機のB787では1機当たり10~12人の人手が必要だ。ANAは搭乗橋の自動化などの実証も進め、「2025年をメドに6人程度で作業ができる体制を目指したい」(同)としている。

一方、空港業務の自動化にビジネスチャンスを見いだすのが総合商社だ。伊藤忠商事の100%子会社の日本エアロスペースは、ドイツのMototok社製のリモコン式牽引車「Spacer8600」をエアラインに売り込んでいる。

リモコン式遠隔操作牽引車(右、写真:ANA)

B737やA320といった小型機で使用することができ、3人一組で行っていた機体のプッシュバックを2人で行うことも可能にした。経験の浅い若手でも比較的簡単に使うことができるという。リモコン式牽引車はロンドン・ヒースロー空港などで実用化されているが、ANAも佐賀空港で2019年から導入した。

丸紅が注力するグラハン業務のAI化

全国6空港でグラハン業務を手がけるスイスポートジャパンへの出資など、空港事業にとくに積極的なのは丸紅だ。子会社のAiROは国の「自動走行実現に向けた検討委員会」にも参加し、トーイングトラクターの「レベル4」での自動運転を実現しようとしている。

そしていま、同社が総代理店となって力を入れるのが、スイスのITベンチャー企業、Assaia(アサイア)が開発したグランドハンドリング作業監視システム「APRON AI」の売り込みだ。

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