大手商社も参入!人手不足の「空港改革」最前線 経験と勘頼みの職人技をAI、ロボットで自動化
地方空港に比べ、羽田ではグラハンスタッフの人員確保はそれなりにできているが、「都市部では就航を希望する海外エアラインが桁違いに多く、(そもそも人材が確保できない)地方空港とは別の意味で人手不足が深刻化している」(国交省担当者)という。
ANAグランドハンドリング企画部の山本圭介企画推進チームリーダーは、「人員不足で外航の受け入れを断らなければならないケースも出ていて、ビジネスとしても逸失収入が大きくなっている」と危機感をあらわにする。
7月7日に開かれた航空連合のシンポジウムでもグラハンの人手不足が話題になった。参加者からは「作業の過密化で視野が狭くなり、確認も不十分になりがち。貨物室内のロックや緊締の作業ミスは最悪、墜落事故にもつながる。作業に抜けがないか、確認作業を改めて徹底したい」との発言もあった。
職人技が光るグラハン作業だが、「超労働集約型で、(人手不足は)気合いと根性で乗り切ってきた」(山本リーダー)のが実情だ。いま、経済面からも安全面からも抜本的な作業の見直しが迫られている。
2025年度に完全自動運転を実用化
国土交通省は2018年に「空港制限区域内における自動走行の実現に向けた検討委員会」を立ち上げ、空港内を走るバスや作業車両の自動化を推進している。
前述のトーイングトラクターは、2021年3月にJALが成田空港で運転監視者が同乗する「レベル3」の自動運転を実用化した。羽田空港でもANAが豊田自動織機と連携してトーイングトラクターの自動運転化に取り組んでいる。
2024年度には国内用の貨物上屋から第2ターミナルまで(約1km)、監視者が乗らない完全自動の「レベル4」での実証実験を行い、2025年度の本格導入を目指す。将来はターミナルから2.5km離れた国際貨物上屋までの自動化も視野に入れる。
「羽田空港内には信号機があったり路面の凹凸があったり幅が狭かったりと、障害も多い。大型車とのすれ違いも頻繁にある。国際貨物上屋までの自動化にはインフラ側の整理も必要で課題は少なくない」とANAの山本リーダーは話す。
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