大手商社も参入!人手不足の「空港改革」最前線 経験と勘頼みの職人技をAI、ロボットで自動化
7月末の午前10時40分、福岡発のANA244便が羽田空港65番スポットに到着すると、グランドハンドリング(グラハン)スタッフが搭乗橋を機体に寄せ、地上電源への切り替え、貨物の積み降ろしなどの作業を一斉に始める。6人のスタッフは時折声を掛け合いながら、手際よく作業を進めていく。
その周辺では、6台のコンテナ運搬車両がトーイングトラクター(小型牽引車)に牽引されて空港内の通路を絶えず行き交っている。遠くには飛行機を牽引するトーイングカーにプッシュバックされ誘導路に向かう機体も見える。全国一の混雑空港である羽田空港の日常風景だ。
取得が必要な社内資格は100以上
「プッシュバック作業では飛行機を押し出す際、機体と車両の進行方向が左右逆になるし、柔らかく走り出すための技術的なコツがいる。周りを俯瞰して安全に走行することも必要で、トーイングカーを運転できる社内資格を取るまでには5~6年はかかる」
現場でトーイングカーを運転した経験もあるANAグランドハンドリング企画部の大久保和祐さんは話す。
乗客の手荷物をコンテナに詰め込む作業ヤードでは、スタッフ2人が手際よく荷物を積み上げていた。さまざまな形状のキャリーケースを時間内に限られたスペースに詰め込むため、どの形のケースをどういった順番で積み上げていくか、ここでも経験と勘がものをいう。
一つひとつの作業に研修や社内資格の取得が義務づけられており、その数は優に100を超えるという。
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