大手商社も参入!人手不足の「空港改革」最前線 経験と勘頼みの職人技をAI、ロボットで自動化

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羽田空港では、空港作業車両の自動化が計画されている(記者撮影)
羽田空港第2ターミナル国際線エリアが7月19日、3年3カ月ぶりに営業を再開した。2020年3月の開業直後にコロナ禍が襲い、わずか2週間で閉鎖となっていた。当時1日最大約30便の受け入れを想定していたが、今回は保安検査要員やCIQ(税関・出入国管理・検疫)の人手不足もあり、1日5便からのスタートになった。
さらに、航空会社の地上業務(グランドハンドリング)スタッフの人手も逼迫していて、業務の自動化・効率化は必須になっている。エアラインはもちろん、総合商社も空港業務改革に乗り出している。

 

7月末の午前10時40分、福岡発のANA244便が羽田空港65番スポットに到着すると、グランドハンドリング(グラハン)スタッフが搭乗橋を機体に寄せ、地上電源への切り替え、貨物の積み降ろしなどの作業を一斉に始める。6人のスタッフは時折声を掛け合いながら、手際よく作業を進めていく。

その周辺では、6台のコンテナ運搬車両がトーイングトラクター(小型牽引車)に牽引されて空港内の通路を絶えず行き交っている。遠くには飛行機を牽引するトーイングカーにプッシュバックされ誘導路に向かう機体も見える。全国一の混雑空港である羽田空港の日常風景だ。

取得が必要な社内資格は100以上

「プッシュバック作業では飛行機を押し出す際、機体と車両の進行方向が左右逆になるし、柔らかく走り出すための技術的なコツがいる。周りを俯瞰して安全に走行することも必要で、トーイングカーを運転できる社内資格を取るまでには5~6年はかかる」

プッシュバック作業では、機体と車両の進行方向が左右逆になる(記者撮影)

現場でトーイングカーを運転した経験もあるANAグランドハンドリング企画部の大久保和祐さんは話す。

乗客の手荷物をコンテナに詰め込む作業ヤードでは、スタッフ2人が手際よく荷物を積み上げていた。さまざまな形状のキャリーケースを時間内に限られたスペースに詰め込むため、どの形のケースをどういった順番で積み上げていくか、ここでも経験と勘がものをいう。

一つひとつの作業に研修や社内資格の取得が義務づけられており、その数は優に100を超えるという。

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