【アルコール依存症】休日「昼飲み」がリスクの訳 心当たりがある人は、チェックリストで確認を

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「まず、どんな人でもアルコール依存症になるリスクはあります」と木村さん。今のところ若年層以外では飲酒者には男性が多いため、現時点での患者には圧倒的に男性が多く、そして男性では中高年が多いという。

「はっきりとはわかっていませんが、遺伝も大きく関係していると考えられていて、親がアルコール依存症だと、そのお子さんも依存症になりやすいといわれています」(木村さん)

また、お酒を飲んでも赤くならず、「酒に強い」と思われている人のほうが依存症になりやすいこともわかっている。

私たちの体内に入ったアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドという物質に分解される。この物質は頭痛や吐き気、顔が赤くなるなどの症状を引き起こすのだが、このアセトアルデヒドを分解するALDH2(アルデヒド脱水素酵素2)がしっかり働く人は、そういった症状が起こりにくい。

日本人の約56%は、ALDH2がしっかり働くタイプだというが、これがかえってやっかいだ。

「ALDH2がしっかり働く人はお酒に強く、たくさん飲めてしまうので、そのぶん依存症になるリスクが高いのです。残りの約40%は働きが弱い人で、お酒に弱いけれど飲むことはできる。リスクは低いですが、ないとは言いきれません。そして、日本人の約4%はALDH2が働かないので、お酒を飲むとすぐ真っ赤になったり、気持ちが悪くなったりする人です。こういう人は依存症になるリスクはほぼないと思っていいでしょう」

と木村さん。ALDH2の働きが強い人だけでなく、弱い4割の人も油断できないそうだ。なぜなら最初はあまり飲めなくても、日々少しずつお酒を飲むうちに耐性ができて、段々と飲めるようになっていくからだ。そうなるとアルコール依存症のリスクが生じてくる。

「アルコール依存症は急性アルコール中毒とは違い、急に悪くなる病気ではありません。10〜20年といった長い期間にわたってアルコールを飲み続けた結果、気がついたらかかっている病気なのです」(木村さん)

「アルコール依存症」チェック

そもそも依存症とは「その行為がよくないことだとわかっていても、やめることができず、日常生活に支障をきたす状態」を指す。

アルコールの場合は「お酒を飲みたい気持ちが強くなり、飲んではいけない場面でも飲んでしまうといったことが挙げられます」と木村さん。二日酔いなのに迎え酒をしたり、仕事中にもかかわらず昼間から飲み始めたり……といったことが当てはまるそうだ。

では、実際のアルコール依存症の診断基準はどうなっているのか。

日本の多くの医療機関では、WHO(世界保健機関)の疾病分類であるICD(国際疾病分類)、またはアメリカ精神医学会が作ったDSM(精神障害の診断・統計マニュアル)に基づいて診断が行われている。どちらも物質への依存全般について述べているが、わかりやすいよう「物質」を「アルコール」に置き換え、さらに説明を加えて紹介する。

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