【アルコール依存症】休日「昼飲み」がリスクの訳 心当たりがある人は、チェックリストで確認を

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こうしたアルコール依存症の治療は、以前とは違ってきている。アルコールの摂取量を減らす「減酒治療」という考えが出てきたためだ。

木村さんによると、これまでアルコール依存症の治療といえば、完全に飲酒をやめる「断酒治療」しかなかったので治療を受けるハードルが高かったが、最近は「ちょっと心配」という人たちも受診し、治療を受け始めているそうだ。

「減酒治療でも、断酒治療と同様にスクリーニングテストや問診、診察によって、どの程度の身体・精神依存が生じているのかを確認します。そのうえで患者さん自身に減酒の目標量や目標回数を決めてもらいます。そして次の受診までの間、飲酒日記をつけてもらって、再診時に目標を守れているかどうか、心身の調子が変わったかどうかなどを話し合います」(木村さん)

アルコールへの依存度が軽い場合は、通院でこうしたサポートを受け、自らの意思で酒量を減らしていく。

並行して薬物療法を受けることも可能だ。「飲酒を開始する1〜2時間前に『セリンクロ』という薬を飲むと、アルコールを摂りたいという欲求が抑えられ、酒量を減らしてくれます」と木村さんは言う。依存度が高い場合でも、まずは減酒を試み、それが難しければ断酒治療へと切り替えることもできる。

再飲酒「スリップ」しないために

「断酒治療の場合は、入院のほうが確実です。約3カ月かけてアルコール依存をやめるためのプログラム、投薬などを受けながら過ごします。入院すれば、物理的にお酒から離れることができるうえ、合併症の治療もできます。また断酒して最初の1週間ほどは強い離脱症状が起こることもありますが、抗不安薬などで対処することも可能です」(木村さん)

通院が終わった後や退院した後、再びお酒を飲んでしまうことを「スリップ」という。

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これを防ぐには抗酒薬(薬を飲んだ後に飲酒をすると二日酔いのような状態になり気持ちが悪くなる)を使ったり、同じ悩みを持つ当事者の自助グループ(AA)に通ったりするなどの方法がとられる。

アルコール依存症は依存だけでなく、アルコール性肝炎や肝硬変、肝臓がん、膵炎などの発症リスクを高める恐ろしい病気だ。これらの病気によって命を失うこともある。大事なのは適正飲酒、そして依存に心当たりがあったら早めに受診することだろう。

(取材・文/大西まお)

独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター 副院長
木村 充医師

1970年、東京生まれ。専門領域はアルコール依存症、精神科一般。医学博士、精神保健指定医、精神科専門医制度指導医、精神科専門医。
東洋経済オンライン医療取材チーム 記者・ライター

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