主婦に密かな人気、「日本語教師」は稼げるか 気になる時給とやりがいは?

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日本語教師の時給相場は1500~1800円(スタート時)。リクルートジョブズが発表しているアルバイト・パートの募集時平均時給が960円(2015年3月度)、派遣スタッフ募集時の平均時給が1586円(同)であることを考えると「そこそこ」と言いたくなるが、実はそうでもない。日本語教師の時給はあくまでも、教壇に立つ授業時間に対して発生するもの。授業準備や授業後の採点、事務処理などにかかる時間は考慮されていないのだ。

おカネよりやりがいで納得できる?

たとえば、日本語教師歴2年、40代のある女性の場合、4時間の授業に対して最低でも3~4時間かけて自宅で準備をするという。授業が終わったあとも1時間は引き継ぎ業務や宿題のチェックなどで学校に残る。そう考えると、実質的な時給は1000円以下ということになる。

背景には、日本語教育が長年ボランティア精神によって支えられてきた部分があり、「食いぶちを得る」ための仕事としての認識が希薄なまま今に至っていることもあるといわれる。

「おカネよりやりがい」で納得できる人はいいのかもしれないが、報酬は自分の仕事に対する評価であるという考えもある。もちろん経験や能力に応じて時給は徐々に上がっていくというが、高い専門性が求められる割に、給与面で恵まれないとやり切れなくなる人もいるようだ。

インターカルト日本語学校には、最短5日間で集中的に学ぶ少人数制のウィークリーコースもある。この日はイタリア、中国、台湾などからの生徒が学んでいた

日本語学校にとってもこれは、頭の痛い問題だ。前出の加藤校長はこう打ち明ける。「日本語学校の経営は決して余裕があるわけではない。どれだけ留学生が増えようと、受け入れ数には限度がある。都内の日本語学校の授業料はほぼ横並びで、授業料を上げることもできない」。同校では、「学外」からの収益を上げるため、企業や大学などでの日本語研修やeラーニングなどにも注力しているという。

一方で、自ら道を切り開き、フリーランス日本語教師として活躍している人もいる。

鈴木真奈さん(34)は、プライベートレッスンやインド系大手IT企業での日本語研修など、週16時間程度の授業を行っている。授業料は1時間あたり5000円以上。「授業のクオリティを保つためにも、授業料は妥協しません」と強気だ。日本の大手企業から外国人社員向けの研修をやってくれないかと声をかけられたこともあるが、授業料の面で折り合わず断ったという。

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