「人一倍勉強しなさい」指示され育った少年の悲劇 中学生になっても平然と「携帯を監視」した親
この事件では、子どもを餓死させた母親は保護責任者遺棄致死罪に問われ(懲役5年)、ママ友の「支配」がなければこの事件は起こらなかったとして、ママ友は懲役15年の刑が確定しました。
このママ友はマインドコントロールの知識を特別に学んだわけではないでしょう。ただ、ターゲットとなる人物を孤立させたり脅迫したりすることによって支配しました。ここまで極端でなくとも、学校や職場などあらゆるところで、起こりうることです。
子育ても、一歩間違えばマインドコントロールになるおそれがあります。
「言うことを聞かないと、あなたの大事なものを捨てる」
「テストでいい点数をとらないと、ゲーム禁止」
そうやって、恐怖を与えて思い通りに動かすのはラクかもしれません。しかし、いつか必ず問題が表出します。
子どもの心を追い詰める「教育虐待」
高圧型の子育てと密接な関係があるのが「教育虐待」です。教育虐待とは、親が子どもに対して実力以上の過度な期待をかけて勉強させ、その結果が芳しくないと、罵ったり、暴力を加えたり食事を与えなかったりするような虐待を言います。「子どものために」と言いながら、子どもをどんどん追い詰めていく。近年、中学受験熱の高まりもあって、話題になることも多いですね。追い詰められた子どものSOSが、非行・犯罪としてあらわれる場合もあります。
「医大に行って、絶対に医者になれ」と、激しい教育虐待を続けていた母親が、娘に殺害された事件が2018年にありました(滋賀医科大学生母親殺害事件)。娘は医大合格のため9年間も浪人させられていたというのですから、母親の異常な執着がうかがえます。
娘は小学生の頃は成績優秀でした。母親は、娘が小さいうちから、医者になってほしいという気持ちが強く、高圧的に接していました。成績が期待を下回ると叩いたり、「バカ」と暴言を吐いたりしていました。
大学受験の頃になると、さらにエスカレートします。浪人中はスマホを取り上げ、自由時間をとらせないためお風呂も一緒に入るという徹底した監視ぶり。その後も、こっそり持っていたスマホの存在に気づくと、娘に土下座させたりしました。娘は束縛された生活から逃れるために、母親を殺害するしかないと思い込んだのです。
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